ファミリーマートのレジ上に「謎のディスプレイ」出現 狙いは

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増えるサイネージ広告

 マーケティングアナリストの渡辺広明氏は、ファミリーマートの取り組みを次のように評価する。

「サイネージ広告自体は珍しいものではありませんが、“サイネージ広告を見ている人を見た事が無い”と揶揄されるほど、成功事例はありません。『まいばすけっと』の店頭や店内通路などでも見かけますが、基本は売り場にある商品の情報を静止画で表示するだけで、お客様の興味を引く効果があるとはいえない。成功しているサイネージでは、通勤時などに目に入る電車内や、『にしたんクリニック』でおなじみのタクシー助手席後部に設置されたものなど、居場所が固定された空間での例くらいです。コンビニのスペース活用として、店内に大型サイネージを設置するのは面白いと思います」

 コンビニが広告の場になるのは、今にはじまったことではないという。

「ローソンでは2004年から『ADティッシュ』というオリジナル商品を販売しています。これは手前味噌ながらローソン時代に私が企画したもので、ティッシュの箱に広告を張り、売り場での販促、そして購入後にティッシュが置かれる場での広告効果を狙ったものです。また同じくローソンでは10年に、アサツーディ・ケイとドコモと組み、店先にサイネージ広告を設置する試みを行っていました。ただ今は廃止されています。時代が早すぎたということと、あくまで店外の通行人に向けた施策だったというのが理由でしょう。今回のファミマの試みは、店内に特化したという点で画期的です」

 渡辺氏によれば、東京・銀座のセブン-イレブンの店舗でも、店内にサイネージを設置する同様の試みが行われているという。

課題は「設置」にあるか

 情報が多様化するいま、より効果的な広告手法を模索するにあたり、コンビニの“レジ上”に着目されたということなのだろう。では、どんな点が課題になりそうか。

「まず、ディスプレイがかなり大きいですから、単純に設置する店舗が限られてきそうです。天井に工事をする必要があるでしょうから、店舗によっては大家の承諾を得る必要もありそうです。また、こういう施策は流す映像の面白さが成功を左右します。ファミマで取り扱っていない商品でも広告を流せるか、企画の柔軟性も気になるところ。さらに進んで、店舗周辺のローカル店の広告や“今度の日曜日は小学校で運動会があります”といった、地域ごとにローカライズされた情報を流すことができたら、地元の掲示板みたいで面白いですよね」

デイリー新潮編集部

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