田中聖「覚せい剤所持」で逮捕 ビジネスホテルの“忘れ物”は不起訴の可能性も

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 元ジャニーズアイドルの田中聖(こうき)容疑者(36)が、覚せい剤を所持していたとして愛知県警に逮捕された。逮捕容疑は1カ月前に滞在していたビジネスホテルでの所持。田中容疑者は、2017年にも大麻を所持していたとして警視庁に逮捕されているが、その時は不起訴となっている。果たして今回はどうなるか。「渥美坂井法律事務所弁護士法人 麹町オフィス」代表の渥美陽子弁護士に話を聞いた。【「コスプレ弁護士」の法律相談所】

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前の客が残した可能性

 いまのところの報道を見る限り、私は、田中さんを起訴できるか、まだわからないと考えています。

 愛知県警が田中さんを逮捕したのは、今月24日のことです。先月1月30日の午後5時50分ごろ、名古屋市中区のビジネスホテルで覚醒剤約0・164グラムを所持していたというのが逮捕容疑。チェックアウト後に、従業員が室内に怪しい白い粉が残っているのを発見して通報したことから捜査が始まったと報じられています。

 ポイントは、覚せい剤が見つかった場所がホテルだったという点です。自宅だったならば、本人がその場にいなかったとしても言い逃れはなかなか難しいでしょうが、ホテルならばチェックアウト後に誰かが入って置いていった可能性も否定しきれないし、彼が宿泊する前の客が残していった可能性だってある。宿泊中に訪問した人の忘れ物かもしれない。田中さんは否認しているとのことですので、こういったあらゆる可能性を指摘して自分のものではないと主張していくことが考えられます。

 ここで思い出して欲しいのは、2016年に歌手のASKAさんが覚せい剤取締法違反の「使用」で警視庁に逮捕されながらも、不起訴となった事件です。あの時、ASKAさんは自宅で「盗聴や盗撮をされている」と自ら110番しました。駆けつけた警察官は、ASKAさんの言動が不審ということで、任意で尿検査を実施。陽性反応を示したので、「使用」で逮捕しました。

「お茶」でひっくり返された

 しかしその後、ASKAさんは嫌疑不十分で不起訴処分になりました。「採尿カップに用意しておいたお茶を入れた」と主張したからです。警察は採尿している様子をしっかり確認していなかったので、その主張をひっくり返すことができませんでした。薬物事件は、仮に前科があって、所持や使用の事実を間接的にうかがわせる状況証拠がある程度揃っていたとしても、反論に耐えうるしっかりとした証拠がない限り、起訴に持ち込むのが難しいのです。

 田中さん自身も、17年5月に大麻取締法違反容疑の現行犯で警視庁に逮捕されていますが、嫌疑不十分で不起訴になっています。捜査を開始した愛知県警は、当然、その経緯を把握したうえで今回の逮捕に踏み切ったものと思われます。

 愛知県警は1カ月かけて、防犯カメラを念入りにチェックし、室内の指紋も鑑定するなどして、残っていた覚せい剤が田中さんの持ち込んだものとしか考えられないという証拠固めをしてきたのではないかと予想します。果たして本人が否認するなか、公判に耐えうるような証拠を揃えられているのか。

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