支持率低下を恐れて「コロナ鎖国政策」をやめられない岸田総理 「子供へマスク推奨」は非現実的?

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「不安なので」と受けるPCR検査は無意味

 岸田総理は就任当初、第6波に備えたコロナ病床の確保を約束し、そこに向けては尽力したようだ。ところが、感染拡大したオミクロン株は、以前の新型コロナと性質がまるで違うのに、対策を修正しない。その結果、矢野医師によれば、こんな問題が起きている。

「1~2月は病院の繁忙期で、脳出血、肺炎、心筋梗塞などの患者が多い。そういう時期にコロナ病棟を確保していますが、半分しか埋まっていません。しかも通常の疾患の患者さんとくらべ、明らかに軽症でも入院できています。不公平なうえに、通常診療のための病床を確保できません」

 デルタ株までと違い、命に関わる患者が激減しても、コロナだけを特別視し、ほかの疾患の患者を命の危険にさらす。「未必の故意」という言葉さえ浮かぶ。

 PCR検査や抗原検査のキットが不足している問題も、同じところに根っこがある。矢野医師が続ける。

「今後は重症化を防ぐ対策が大事で、若者が不安なので陰性を確認したいからと、無料の検査を受けるなんて、明日は陽性かもしれず無意味。高齢者施設で働く職員や、重症化しやすい高齢者が簡単に検査を受けられるようにすべきです」

 そして、こう訴える。

「コロナ病棟を作らなければいけないのは、感染症法上の2類相当だから。現場の感覚では、オミクロン株はデルタ株以前と明らかに異なり、ほぼ普通の風邪になった。5類にして、季節性インフルエンザと同じ危機感で対処できるようにすれば、保健所も医療現場も負担が減ります」

子供のマスク着用は非現実的

 むろん、5類になれば濃厚接触者という概念も必要ない。東京大学名誉教授で食の安全・安心財団理事長の唐木英明氏が言う。

「欧米では濃厚接触どころか、感染しても無症状であれば、マスク着用を条件に仕事を許可しています。こうしたことが日本で許されないのは、コロナを2類相当にしているからです」

 いま医療現場からも、2類相当を5類に、という声が、悲痛な叫びのごとく上がっている。だが、岸田総理は「現実的ではない」と言うだけで、「聞く力」をもたないのである。

 コロナは怖いという前提を、是が非でも否定したくないようで、それは2月4日に分科会が打ち出した感染防止策にも感じられた。

 なかでも子供にもマスク着用を推奨し、密集する運動や合唱は避けさせるという点。マスクは全国知事会が「2歳以上の着用」を勧め、後藤茂之厚労相も前向きだったがさすがに異論が噴出し、年齢は書かれなかったが、三浦さんが言う。

「2歳は親や先生、お友達から言葉や表情を含むさまざまな表現を学び、自分で使おうとする年齢。マスクをさせると、そういう機会も奪われます。また、この年齢は手洗いや食事のマナーを教えるだけでもせいいっぱい。そんな時期にマスクをさせるのは非現実的です」

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