支持率低下を恐れて「コロナ鎖国政策」をやめられない岸田総理 「子供へマスク推奨」は非現実的?

国内 社会

  • ブックマーク

「時短は意味がない」

 まん延防止等重点措置が、多くの都道府県に漫然と出されているのも、同様に問題だ。政府分科会の構成員である慶應義塾大学の小林慶一郎教授は、本誌(「週刊新潮」)の取材に、飲食店などの時短には意味がない、というのが分科会の見解だが、政府の基本的対処方針では、「まん防」には時短が付いてきてしまう、と語っていた。

 分科会は、時短をやめるよう政府に訴えてほしかったが、岸田総理も、もう時短は要らないと発信できなかったのか。

「時短は感染症対策として、意味がありません。接待を伴う飲食店で夜中まで大騒ぎするような一部の人には効果があっても、大多数の人には有効ではなく、飲食店へのいじめのように受け取られても仕方ない」

 とは、矢野医師の見解である。米村教授も言う。

「来月、ある雑誌に掲載される私の論文のデータですが、政府資料中のクラスター情報を解析すると、飲食店で起きたのは1割程度で、多くは各種福祉施設や職場で起きていました。時短が無駄だとわかっていながら、それを続ける姿勢は科学的ではありません。飲食店の方にとっては、とんでもない話ですね。水際対策も含めたマクロ対策よりも、ミクロ対策が重要だと、私は以前から訴えています。たとえば、布やウレタン製ではない、性能の高い不織布マスクをきちんと装着し、飛沫感染を防ぐ、といったことです。しかし、一顧だにされません」

科学より不安感に寄り添う岸田総理

 岸田総理の「聞く力」は発揮されないという。だが、間違った政策は正し、科学的データに基づいて、先の先まで見越し、国民の利益につながる道を指し示すのが、一国のリーダーのあるべき姿ではないのか。

 そういう視点に立つと、たとえば、現在、都立9庭園などは休園中だが、

「大きな公園が閉鎖されたため、人が小さな公園に密集してしまっては、元も子もありません」

 と、矢野医師。似たような例として指摘できるのが、美容院などで感染対策を理由に、雑誌が撤去されているケース。雑誌がないからおしゃべりに花が咲くという本末転倒が起きている。

「感染につながるのは飛沫で、雑誌などは、手指のアルコール消毒さえしていれば問題ありません」(同)

 感染拡大を防ぐためにも、社会や経済を動かすためにも、そこかしこに放置されている本末転倒を改める必要がある。ところが岸田総理は、科学に基づいた判断の代わりに、人々の漠たる不安に寄り添う。本末転倒の最たるものが岸田総理だという不幸が、日本を襲っているのである。

次ページ:「不安なので」と受けるPCR検査は無意味

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[3/6ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。