支持率低下を恐れて「コロナ鎖国政策」をやめられない岸田総理 「子供へマスク推奨」は非現実的?

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低年齢児童への悪影響

 臨床心理士でスクールカウンセラー、明星大学の藤井靖准教授も指摘する。

「低年齢の子は、一度落ちたマスクを拾って着けてしまうなど、衛生的に難しい問題もあります。マスク着用による、学校生活への影響も大きい。心理学でメラビアンの法則といって、人の印象は55%が視覚情報によって決まるとされ、マスクで顔の半分以上が隠れると、印象を受け取りにくくなります。“怒っていないのに、周りから怒っていると見られる”と、低学年の子から相談されたことがありますが、表情がわからず、感情が伝達されないのです。特に低年齢の児童には、マスクが人間関係の構築を阻む原因になっています。また、発達障害の子は感覚過敏を伴うことが多く、マスクをずっといじってしまうなど、かえって不衛生になることも多いのです」

 子供が家にウイルスを持ち込む可能性はあるが、だからこそミクロの対策が求められよう。また、密集の回避についても、

「心理的距離と物理的距離は相関していて、物理的距離が広がるほど仲が深まりにくい。仲を深めるには1メートル以内、さらに親しくなるには、50センチ以内に入る必要があるというのに、学校では1メートルの距離を保つようにいわれている。友達ができず、クラスになじめなくなるのも無理はないです」

 こうした声に「聞く力」を発揮しないと、将来に禍根を残すはずなのだが。

ポピュリズムに走って

 総理大臣が「コロナは怖い」という見解を改めないと、どんな弊害が生じるか。老年医学が専門の精神科医、和田秀樹氏が言う。

「高齢者は家に引きこもって、足腰が脆くなるし、先ほど診た患者さんも“会話する機会がなくなって気分が落ち込んでいる”と言います。認知症が進んでしまった人も増えています。高齢者がコロナに感染すると危険だ、といいますが、コロナで亡くなった高齢者の数は、例年、インフルエンザや風邪をこじらせた肺炎で亡くなる高齢者の数と変わりません。怖がって衰えてしまうような不幸を防ぐためにも、政府は安全宣言を出すべきです」

 しかし、岸田総理は出したくないようである。唐木氏が述べる。

「リスク管理をする際、必要不可欠なのが総合的な見方。感染症の専門家が、2歳児にマスクを着けさせることを提案する際、彼らはそれがどれだけ大変か知りません。つまり総合的な見方が欠けているので、政治家が総合的に判断する必要がある。これをリスクの最適化といいます。岸田政権が、なんの意味もない鎖国政策を続けているのも、総合的な判断がなされていないから。ポピュリズム政策に走って、“私は一生懸命やっている”というメッセージを国民に示したにすぎません。オミクロン株になって以降、テレビで恐怖をあおってきた専門家も、このままでは経済が破綻すると気づくようになりました。そこで“みなし陽性者”など、一部で対策も緩和されましたが、怖いと思っている人も相変わらずいて、見方が二つに分かれてしまっています。こんなときこそ政府が情報を開示し、見解を統一すべきですが、政府は参院選を見据えてか、むしろ厳しい対策に傾倒し、日本中が混乱しています」

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