「ミステリと言う勿れ」5話に登場で話題…『自省録』の「ドキッとして肝に銘じようと思う」フレーズは?
現在と似た世相
更に『自省録』が書かれた時代は、戦争や天災が相次ぎ、疫病が蔓延するという大変な状況だった。今のコロナ禍と通じるものがあるのだ。訳者の神谷氏が執筆した「訳者解説」から引用させていただく。
《平和を楽しむこと久しかったローマ帝国はマルクス・アウレーリウスの時代になって多事多難なところにさしかかった。即位早々、北境ゲルマン人たちの擾乱、ティベリス河の氾濫、地震等の災難に相ついで襲われ、またシリアに侵入しようとしたパルティア人たちとの戦争も起った。》
《軍は勝利をえて一六六年に凱旋した。ところがその帰還の際、ペストの病毒を持ってきたため、疫病はライン河に至るまで蔓延し、人畜の死体が至るところに累々とよこたわる有様であった。》
岩波書店のプロモーション担当も「コロナ禍の困難の中、本書を手に取っていただいた読者の方も多かったのです」と言う。
「ドラマとコラボした特別版の前は『生きづらい今だからこそ読みたい』というキャッチの入った帯を巻いたりしていました。ドラマで興味を持ち初めて『自省録』を手にしたという方々も、本書の魅力に気づいていただき、ゆくゆくは日々を生きる糧になるような生涯の1冊になることを願っております」
[3/3ページ]