コロナ禍で考える鉄道会社と“副業” 「東急ハンズ」「西武建設」にみる時代の流れ

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 新型コロナウイルスにより、社会の環境や構造は大きく変わった。例えば、それまで出社が当たり前になっていたサラリーマンの勤務形態はテレワーク・在宅ワークが導入されたことで出社人員は大幅に削減された。

 企業にしてみれば、業務をこなす人員は確保したい。その一方で、給与は抑制したい。図らずも、業務の多くはIT化されており、それらはパソコンなどがあれば自宅でも作業が可能だ。

 それまで個々の社員が副業することは、企業情報の流出や労務管理といった理由から日本企業は慎重だった。しかし、コロナで背に腹は替えられなくなっている。コロナ禍のテレワークや在宅ワークを機に副業を容認する企業が目立つ。

 それはあくまでも個人の話。企業という事業体で見ると、多くの企業は以前から本業とは別の事業で業績の拡大を図ってきた。

 少子高齢化やコロナ禍で業績が思わしくない鉄道事業者も、高度経済成長期やバブル期に事業を多角化。それは、一見すると鉄道とは関係ないように思える分野にも進出していた。

 鉄道事業者が他分野へと進出して大成功を収めた例として、真っ先に思いつくのは阪急電鉄の宝塚歌劇団、阪神電鉄が保有するプロ野球チームの阪神タイガースだろう。もともと創業者・小林一三が学生時代に文学や演劇に傾倒していたこともあり、阪急が所有していた遊園地の集客戦略としてタカラヅカは産声をあげた。タカラヅカの評判は年を経るごとに高まり、東京にも進出。阪急は大阪・京都・兵庫にしか路線網を持たないが、タカラヅカは全国区の知名度を誇る。

 もはや説明は不要だが、阪神タイガースは本体の鉄道会社よりも全国区の知名度を誇り、阪神電車に乗って試合観戦に行くという応援スタイルも定着している。

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