市川海老蔵は「歌舞伎座」が嫌い? 2年半で出演は1度のみ、襲名の遅れを松竹は危惧

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意見できる人間が周囲にいない

 その象徴的な例が、昨年5月に行われた「海老蔵歌舞伎」。「差別的表現がある」と指摘があり、演出が変更になった一件である。

「劇中で日本人と中国人が口論になり、日本人が“お前たちが衛生面に気をつけずになんでも食べるせいでコロナになった!”などと叫ぶ場面があったのです。この芝居の中身も、海老蔵が自分の“お友達”と決めていた。松竹も含め、海老蔵に対して“それは違うんじゃないか”と意見できる人が周囲にいなくなっているということですよ」(同)

 それに加えて海老蔵は近年、「勧進帳」「助六由縁(ゆかりの)江戸桜」など、市川家所縁の演目について、自らの会社で商標登録を出願中とか。ビジネスライクな動きも垣間見えるのだ。

 当の成田屋に見解を問うたが、回答はなし。

 松竹の迫本淳一社長も、

「海老蔵さんと当社の間には何の問題もなく、さまざまな事業を進めております」

 と言うのみである。

「ファンの皆さんは、ここ数年の海老蔵に、どうしたんだろうな、という思いを抱いているのではないでしょうか」

 と演劇評論家の上村以和於(いわお)氏が言う。

「歌舞伎座で同世代のライバルとの共演を見たいと思っているはずですが、それを遠ざけている。本人は梨園を改革したいと思っているのかもしれませんけれど、歌舞伎界一のビッグネームですから、しかるべき舞台を踏み、内部から変革に挑戦すべきでしょうね」

「裸の王様」になりつつあるのでは、との声もしきりなのである。

週刊新潮 2022年2月3日号掲載

ワイド特集「絶対零度の人間ドラマ」より

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