橋下徹「テレビ大量露出」のウラにある巧妙な戦略とは 政治的中立性を巡り毎日放送が調査

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 1月19日に開かれた定例会見で、毎日放送(MBS)の虫明洋一社長は「政治的中立」の観点から社内調査を命じたことを明らかにした。問題視されたのは、橋下徹・元大阪市長らが出演した元日の番組である。以下は異例の調査のきっかけとなった、週刊新潮の特集記事である。

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 今年1月1日、関西ローカルで放映されたテレビ番組が永田町の一部で話題を呼んでいる。それは、MBSの「東野&吉田のほっとけない人」。東野幸治とブラックマヨネーズの吉田敬が司会を務めるトーク番組だが、この日のゲストは橋下徹・元大阪市長、松井一郎・大阪市長、吉村洋文・大阪府知事。この三人が一堂に会し、およそ45分にもわたってあたかもトリオ漫才のようなやり取りを披露したのだ。

 永田町関係者が言う。

「三人とも大阪では人気があるのでしょうが、さすがに日本維新の会の創設者である橋下氏と代表である松井氏、副代表の吉村氏の鼎談を、公共の電波を用いて放送するのは偏向に過ぎる、という声が永田町で上がっているのです。放送の『不偏不党』は放送法で定められたルールですから」

政治的中立性を欠いた番組

 選挙、国会議員の文書交通費問題、否決に終わった大阪都構想……。番組では終始一貫して維新の政策を「自画自賛」するかのようなやり取りが続き、橋下氏の口からは都構想実現を切望するような言葉も飛び出した。極めつきは番組後半、「いつか総理になると思う人は」との問いに対し、三人がそれぞれ自分の考えをフリップに書いた場面。橋下氏と松井氏が揃って「吉村洋文」と書いたのだ。吉村氏は自民党の小泉進次郎前環境相の名を書いたものの、“本当は橋下さんにやってもらいたいと思っている”とも述べていた。

 司会の二人はこうしたやり取りを温かく見守りつつ、時折合いの手を入れるのみ。例えば大阪府のコロナ対策に関して、人口100万人当たりの死亡者数が全国ワースト1位になっていることなど、吉村知事らにとって「耳の痛い問題」が俎上に載ることはなかった。

 毎日放送に取材を申し込んだところ、

〈ご覧いただいた方から「政治的に公平でない」というご指摘があることは承知しております〉

 との回答が寄せられた。

「明らかに政治的中立性を欠いた番組が成立してしまう背景には、橋下氏の存在があります。現在の橋下氏は、表向きは維新とは何の関係もない、“いち民間人”“いちコメンテーター”であることを強調しています。今回の番組も、準レギュラーである橋下氏が松井、吉村両氏を“連れてくる”という体裁を取っている。そのため、視聴者に許容されてしまうのかもしれません」(先の永田町関係者)

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