「なるようになれ」のネイティブな表現は? 在米医師が教える生きた英語

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 コロンビア大学医学部外科教授であり、ニューヨークのトップドクターとして知られる加藤友朗医師。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)の著者でもある加藤氏が日常で出会う“ネイティブ英語”を紹介。

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 海外では広く知られた手術なのに日本ではあまり知られていない手術法にSugiura手術があります。これは東京大学第二外科出身でのちに順天堂大学の教授になられた杉浦先生が1970年代に考案した手術です。門脈圧亢進症という病態に対する手術で、今ではほとんど行われていませんが、アメリカの外科の教科書に出てきます。しかしSugiura手術という呼び方は日本ではあまり一般的ではありません。日本では杉浦先生が在籍していた医局の名前をとって東大第二外科法と呼ばれていたからです。当時は日本の外科手技を英文で発表するのはかなりハードルが高かったのですが、杉浦先生が英語で論文を書いたことで世界ではSugiura手術として知られることになったのです。

 さて今回の表現はlet the chips fall where they may。ここでのchipsは木材を切るときに出る小さな破片のことです。木材を切るときは周囲に飛び散る破片(chip)がどこに行くかは気にしても仕方がないところがあります。let the chips fall where they mayは「チップはどこでも落ちるところに落ちればいい」ということで、「なるようになればいい」「結果はどうあれ受け入れる」という意味になります。

 let the chips fall where they mayの使い方の例は“We’ve done our best. Let the chips fall where they may.”「我々は最善を尽くした。あとはどうなっても受け入れよう」や、“You should tell the truth and apologize and let the chips fall where they may.”「君は真実を話して謝罪すべきだ。その上で何が起こるかは成り行きに任せるしかない」などです。

 では練習問題です。(答えは下)

1.日本語に訳すと?

“He decided to publicly admit his wrongdoing and let the chips fall where they may.”

2.let the chips fall where they mayを使って英語で言うと?

「いったん投資にコミットしたのなら結果がどうなっても受け入れなきゃ」

加藤友朗(かとうともあき)
コロンビア大学医学部外科教授。東京大学薬学部、大阪大学医学部を卒業後渡米。世界初の多臓器摘出体外腫瘍切除手術を成功させ、ニューヨークのトップドクターとして世界中から集まる患者の命を救う。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)が発売中。

週刊新潮 2021年10月28日号掲載

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