岸田首相自ら赤線で修正 霞ヶ関官僚に出回った「トリセツ」と“ラッキー首相”の野望

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富の再配分にご執心

「テレビ番組での発言は、安倍・菅政権を意識してのものだと感じましたね。アベノミクスや黒田バズーカに象徴される大規模金融緩和によって市場の歪みが生まれ、富む者と富まざる者との格差が拡大したが、自分はそれを修正するんだというアピールのようにも聞こえました」(先のデスク)

 岸田首相は金融所得課税の強化を打ち出すなど、富の再配分にご執心のようだ。

「投資家と言っても、機関投資家、創業者、個人投資家など様々です。例えば個人投資家の中には、サラリーマンとして税金を払った後のキャッシュを投資に回したりしている人もいます。格差是正といっても、そうした個人投資家が得たキャピタルゲイン(有価証券の譲渡所得)に課税強化するのは過剰ではないかという声が上がりました。数字だけ見れば現行のキャピタルゲインへの課税額は約20%で、高額所得者の所得税率と乖離していますが、いろんな格差の理由をそこに求めるのは短絡的だという指摘が根強くありますね」(同)

 岸田首相にも深い考えがあるのだろうが、就任以降、特に日本の新興・マザーズ市場は右肩下がりを続けている。

じっと我慢、聞く力

 自民党のある閣僚経験者は、

「岸田さんの中に『国民は安易に改革を望む』という思いがあり、それに迎合して改革を叫ぶことこそが安易だと考えているフシがあると感じました。実際は、『聞く力』を打ち出したら、それが国民に割と受けて支持率が高くなっているので、これをキープするためにも改革を打ち出していた元・前政権とは距離を置く必要があるということでしょう。政治家にとって言葉はもちろん大事ですが、岸田さんが改革という言葉に冷たいイメージを持っていて使わないようにしているのは、単なる自己満足のように映りますね」

 と指摘する。政権の今後についても展望してもらうと、

「7月に予定される参院選までは『じっと我慢、聞く力』というところでしょう。本当に聞いているかは別にしてね。オミクロン株を抑えこみ、参院選に勝利すれば、2年後の総裁選まで政局らしきものはない。安倍元首相というキングメーカーとどう対峙するか、その辺りについても参院選をサバイブすれば具体的に動き始めるでしょう」

 参院選までの数ヶ月は改革というワードを封印し、聞く力をアピールするということのようだ。

デイリー新潮編集部

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