東大前刺傷事件 同級生が見た高2容疑者 異様な生徒会長選の演説とひげヅラ動画

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 逮捕された高校2年生のA(17)は、取り調べに「成績が振るわず医者になれないなら人を殺して切腹しようと思った」と語っているという。

 1月15日、大学入学共通テストの会場である東京大学農学部正門前の歩道で、受験生を含む3人に切りつけた事件だ。Aが本当に医者になりたかったのかは不明だ。たとえそうであったとしても、人を傷つける理由にはなりえない。身勝手極まりない犯行は、なぜ行われたか。

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 Aは取り調べで、以下のような供述もしているという。

「東大を受験する予定だったが、勉強しろとの圧力が強く、勉強が嫌だった」

 デイリー新潮は「『東大刺傷事件』犯行少年の素顔 母も困惑した『理III』への執着、学校行事での意外な一面」(1月19日配信)で、Aは愛知県下随一の進学校である私立東海高校に通っていたが、両親は決して東大受験を強いていたわけではなかったことを報じた。

 では、「勉強しろとの圧力」とは何だったのか。同級生が語る。

「うちの高校の教育方針を問題視する報道もありますが、学校は決して、東大受験を強いるような授業はしていません。むしろ生徒個人を尊重する、自由な校風です。そこは誤解しないでいただきたいと思います」

 東海高校は中高一貫の男子校で、1学年はおよそ400人。昨年は31人が東大、同じく31人が京大に合格、国公立大の合格者は301人を数える。なかでも医学部医学科への進学率は全国トップレベルだ。Aが東大医学部を目指したとしても、おかしくはない。ただし、生徒のほとんどは中学から内部進学した“内来生”だが、Aは受験を経て高校から入学した“外来生”だった。

俺、理Aだったわ

「中学受験よりも狭き門を突破して入学してくる外来性は優秀ですし、内来生よりも競争意識が高いんです。東海高は2年時に成績順にクラス分けされるのですが、Aは成績優秀者の“理系A群”のクラスに入りました。そうしたクラスでは、9割方の生徒が医学部を目指しています。Aはそのクラスの環境に影響されたところもあったのではないでしょうか。病気の人を助けたいという思いで医学部を志望したわけではないと思います」(同前)

 一部では、学校側から「東大理IIIは無理」との宣告を受けたために、Aは絶望して犯行に及んだとの報道もある。

「『東大は無理』などと言う先生なんて聞いたことがありません。むしろA群のクラスは生徒同士が切磋琢磨しているので、そこにいたAは、医学部も東大でなければいけないという思い込みにとらわれ、東大理IIIへの思いを強くしたのかもしれません。ただし、2年になってから成績は落ちた。学年順位が120番くらいと聞いていますから、A群でも下のほうになってしまい、焦ったのだろうと思います」(同前)

 成績は落ちたものの、自身がA群の生徒であるというプライドは高かったようだ。

「スポーツ大会にAは卓球で出場しました。相手はB群の生徒だったんですが、敗けてしまったんです。するとAは、B群の生徒を見下すように、『あっ! 俺、理Aだったわ』と言ったんです。そんなこと言わなくてもいいのに、と蔭で言われていましたよ」(同前)

 Aの言動は、1年の終わり頃から過激になっていったという。

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