懐かしき「昭和カラー」の車両たち 令和に改めて楽しむ“国鉄色”の魅力

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 1872年10月14日(旧暦の9月12日)、新橋(のちの汐留)―横浜(現・桜木町)間に日本初の鉄道が開業した。2022年で150年を迎えるが、特に戦後から1970年代までの昭和の時代は、日本の鉄道にとって“脂が乗っていた”時期と言えるだろう。

 21世紀に入ってから、昭和のカラーリングが相次いでよみがえったことからもそれは窺える。その数々を取り上げてみよう。【岸田法眼/レイルウェイ・ライター】

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根強い国鉄色

 昭和のカラーリングで、もっとも人気が高いものとして「国鉄色」があげられる。国鉄車両のほとんどが塗装を必要とする鋼製車体で、通勤形電車の多くはラインカラー1色塗り、特急形電車や気動車の多くは赤とクリームを組み合わせた。

 1987(昭和62)年4月1日に国鉄が分割民営化され、JRグループが発足。当初は車両に貼付されたJRのロゴを除き、目新しさがなかった。その後、地域密着を前面に押し出す形で、一部の車両は「地域色」と呼ばれる独自色に塗り替えられた。また、車両のリニューアルなどを強調すべく、塗装変更に踏み切った車両もある。

 ところが、21世紀に入ると、国鉄色に戻す国鉄車両が現れた。主な要因として、運行体制及び運行エリアの変更で地域色がそぐわなくなったこと、引退や開業何周年といった節目にちなんだことなどがあげられる。実際にJR東日本東北・上越新幹線用の200系、JR西日本山陽新幹線用の0系と100系は国鉄色に戻し、最後の花道を飾った。

 また、JRグループだけではなく、ひたちなか海浜鉄道、しなの鉄道、えちごトキめき鉄道などにも国鉄色の車両が現れた。一部は元国鉄車両ではないが、“なつかしの国鉄色”に塗装もしくはフルラッピングすることで、目玉商品的な位置づけとして話題性を高めている。

 特筆すべきはJR東日本勝田車両センター所属の車両で、JR東日本オリジナルのE653系1000番台が国鉄色を身にまとう。波動用(臨時列車や団体列車の運行が中心)として広範囲に運用されることから、新しさとノスタルジーを兼ね備えたカラーリングとなった。意外とサマになっており、違和感もない。

 2021年11月5日から勝田車両センター操業60周年記念として、E531系5両車1編成を、401系赤電塗装(あずき色とクリームの組み合わせ)をイメージしたカラーリングに衣替え。2022年度末まで常磐線や水戸線を中心に運行される。

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