「神田沙也加さん急逝」をメディアはどう伝えたか 2年前から変化した「自殺報道」

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自殺方法がセンセーショナルに伝えられた三浦さんの報道

 20年の「自殺者数日時推移」グラフを見ると一目瞭然である。両者の自殺が伝えられた日を境に、大きく折れ線グラフが上に振れている。年代別に見ると、竹内さんのケースでは40代女性の自殺が増えた傾向が顕著に見受けられたという。マスコミ報道によって連鎖的に自殺者が増加する「ウェルテル効果」が出ていたことが、統計上でも明らかになった。

 同センターは、20年10月にこの分析結果を公表。メディアに対して、2000年にWHO(世界保健機関)がまとめた「自殺報道ガイドライン(2017年改訂)」に沿った報道をするよう働きかけてきた。具体的には、報道を過度に繰り返さない、自殺に用いた手段を明確に表現しない、自殺が発生した現場の詳細を伝えない、センセーショナルな見出しを使わない、文末に支援策や相談先について正しい情報を提供することなどである。

「メディアに対する『自殺報道ガイドライン』遵守の呼びかけは、20年5月の木村花さんの報道時から本格的に取り組み始めたのですが、当時はまだ浸透しきらず、自殺の手段を詳細に伝えてしまうケースがみられました。しかし、自殺報道のたびに約300媒体に呼びかけ続けたこともあり、9月の竹内さんのケース以降は明らかな変化が見られるようになっています。そして、昨年末の神田さんのケースでは、例外的なものを除き、ほとんどのメディアが抑制的に報道するようになりました。相談先の情報を文末等につけることはもちろん、メディア関係者に聞いたところでは、憶測を含んだ報道を意識的に控え、センセーショナルな速報も減ったとのことです。メディア側も、20年に著名人の自殺が相次ぎ、それらの報道が自殺者数の増加につながったと考えられる現実を踏まえて、自殺報道のあり方を見直さなければと考えたのだと思います」

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