子供はワクチンを打つべき? 経口薬の注意点は? 医師が徹底解説

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頻繁な接種は慎重に、か

 Q.「ブースター接種は免疫に悪影響」という警告をどう判断すればいい?

 心配な報道がある。EUの欧州医薬品庁(EMA)のワクチン戦略責任者が11日、「頻繁なワクチン接種が人体の免疫に悪影響を及ぼす可能性」を指摘。「4カ月ごとに追加接種を繰り返すと、免疫に負荷をかける恐れがある」と警告したというのだ。松井准教授は原文を読んだうえで、

「頻繁なワクチン接種が免疫に悪影響というのは、マスコミの曲解だと思う」

 と指摘し、説明する。

「EMAの責任者らは、オミクロン株蔓延に対して4回目のブーストを行おうという世の中の動きに警鐘を鳴らしている。現行のワクチンを短期に何回も打つのは、オミクロンにも、今後の変異株対策としても得策ではなく、将来の変異株に対し、ワクチンのアップデートなど持続可能な戦略を考えるべきだ、ということのようです。4カ月といった短期に何回もブースター接種を行えば、免疫系に過剰な負荷を与え、十分な免疫反応が得られなくなる、という主張です。ワクチンのアップデートや経口薬の併用など、新しい戦略を考える時期にきたという意味で、私は賛同します」

 実際、マウスに数日という短い間隔で何度も接種すると、かえって免疫反応期間が短くなるという。3回目まではやむを得なくても、その後は熟慮すべきなのだろう。厚労省のHPにある報告書にも「長期の安全性データは得られていない」と記されており、個人の判断力が問われそうだ。

経口薬の注意点は?

 Q.メルクの経口薬「モルヌピラビル」は役に立つのか?

 矢野医師が説明する。

「モルヌピラビルは核酸アナログに分類される薬剤で、入院と死亡を抑える有効性は30%程度しかありません。一方、パクスロビドはプロテアーゼ阻害薬に分類されますが、入院と死亡を89%減少させます。早くパクスロビドが利用できるようになればいいと思います」

 モルヌピラビルの発注を取り消したフランスに近い意見か。寺嶋教授が加える。

「カプセルが大きく、それを朝晩四つずつ飲む必要があり、高齢の方は飲みにくいかもしれません」

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