子供はワクチンを打つべき? 経口薬の注意点は? 医師が徹底解説

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この先ずっと公費で賄うのか

 一方、岸田文雄総理は5類への引き下げに慎重な姿勢だ。テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」のコメンテーターで同局の玉川徹氏も、岸田総理を「支持しますね」と発言し、

「5類5類って言ってる人たちが、2類のどこがダメだと言ってるのかわかんないけど、(中略)いまのままで5類にすると、確実に感染者は増えると思いますよ。(中略)感染が広がっていくと、軽症であっても社会は止まるということなので。(中略)もうインフルエンザと一緒なのねっていうのがアナウンス効果になって、みんなの行動が、いま以上に抑制がとれてしまって、感染が広がるだろうし」

 などと続けた。だが、川口医師はこう反論する。

「たしかに、いまの体制のまま感染者が増えると医療は大変ですが、5類になると、いままで医療現場が強制されてきた受け入れ対策が緩和されるので、医療側の負担が軽減されます。保健所を通さなくていいので、事務的な負担も減ります」

 5類だと、医療費の公費による全額負担もないが、

「そもそも、この先ずっと公費でまかなうのでしょうか。日本では国民皆保険によって医療費の7割以上を国などが負担し、長期入院となれば高額療養費の助成制度も使えます。いま問題なのは、重篤な基礎疾患が原因でICUに長期間入っている患者さんが、コロナで陰性になった後でも、医療費は公費でまかなわれ続けているということです」

「普通の風邪になってきた」

 こんなことを許していたら、コロナの終息前に国家財政が破綻してしまうのではないか。矢野医師も、

「明らかにデルタ株以前と異なり、普通の風邪になってきたとみています。5類にすれば、保健所も医療現場も負担が減ります」

 と訴え、説明する。

「5類になると、医療機関の感染対策レベルが低下する、という声もありますが、そもそも医療従事者は、標準予防策に則って仕事をしています。これは感染症の有無にかかわらず予防しようという対策です。患者の咳やくしゃみを浴びそうならマスクをするとか、海外から帰国した人は海外のウイルスを保有している可能性を想定して対応する、といった内容です。5類はインフルエンザと同等で、医療従事者はインフルだからと侮(あなど)ったりはしません」

 そして、こう加える。

「今年7月までには、以前のような生活ができるようになるのではないかと考えています。ワクチンも3回目が接種され、プロテアーゼ阻害薬ができ、次の変異株はさらに病原性が低い可能性が高いからです。夏にはビアガーデンで20人ほど集まり、飛沫を飛ばしてビールを飲む光景が見られると思っています」

 その日をたしかに迎えるためにも、ワクチンについて、この変異株の正しい恐れ方について、しっかりと考えておくことが必要なのではないだろうか。

週刊新潮 2022年1月27日号掲載

特集「『無症状・軽症』が99%!『オミクロン』だから考える 『ワクチン3回目』『子どもへの接種』の是非」より

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