岸田首相はコロナ患者が爆発的に増えても「2類」から「5類」に引き下げられない根拠

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 1月17日、岸田文雄首相(64)が就任後初となる施政方針演説を行った。その中で岸田首相は、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大を踏まえ、「岸田政権の最優先課題は、新型コロナ対応です」と語った。

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 演説では、オミクロン株がデルタ株と比較すると、感染力は強いものの症状は軽いことにも言及した。

《感染力が高い一方、感染者の多くは軽症・無症状であり、重症化率は低い可能性が高い》(註1)

 だが、《高齢者等で急速に感染が拡がると、重症者が発生する割合が高くなるおそれがある》との分析も、専門家から報告されたという。

 もし重症者の絶対数が増えた場合、《病床がひっ迫するような緊急事態に陥ることは、何としても避けなければなりません》と指摘。

 対策として、3回目のワクチン接種を前倒しすることや、経口薬の在庫を増やすことなどを挙げた。

《新型コロナに打ち克つことに全身全霊で取り組んでまいります》

 こんな強い表現も飛び出したが、「新型コロナの『2類相当』を見直します」とは表明しなかった。担当記者が言う。

「感染症法で新型コロナは、危険度が5段階のうち2番目に高い『2類相当』に指定されています。結核やSARS(重症急性呼吸器症候群)と同じレベルです。2類相当はオミクロン株の対応策としては過剰すぎるため、『5類相当』に引き下げるべきではないかという意見が、一部の国会議員や地方自治体の首長、そして医師からも出ているのです」

消極的な岸田首相

 5類の代表は季節性インフルエンザだ。もし「5類相当」になれば、近所の病院で診察を受け、自宅で療養することが可能になる。つまり、医療崩壊を防ぐことができる。

「ただし、そのまま引き下げると、医療費の自己負担分が増えるといったデメリットも生じてしまいます。5類相当を支持する医療関係者からは、『メリットだけを増やし、デメリットは防げるよう、特例を整備すべき』との意見が出ています」(同・記者)

 松本人志(58)は16日放送の情報番組「ワイドナショー」(フジテレビ系列・日・10:00)で、「オミクロン株は怖くないが、緊急事態宣言の再発令は怖い」と語った。

 この発言も、弱毒化している可能性があるオミクロン株への過剰な対応を懸念するものと捉えることができるだろう。

 だが、岸田首相は5類相当への引き下げには消極的だ。

「首相は1月4日に伊勢神宮に参拝し、記者会見を開きました。その際、『陽性者は全員入院、濃厚接触者は全員宿泊待機』という方針を見直すと言明したのです。具体的には、自治体の判断によって陽性者でも自宅療養が可能にすると述べました。これは2類相当の措置を緩和したことになります。そのため5類相当へ引き下げるのではないかと期待が高まりましたが、13日、記者団に『感染が急拡大している中での変更は現実的ではない』と否定的な見解を示しました」(同・記者)

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