米ファイザー、メルク製には難点も…オミクロン対策の決め手は国産飲み薬の早期実現化

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 岸田首相は1月11日、感染が急拡大する新型コロナの変異型(オミクロン型)について、外国人の新規入国を原則停止するなどの厳格な水際対策を2月末まで延長しつつ、ワクチンの追加接種の前倒し拡大や在宅療養の強化を柱とする新たな対策を発表した。

 デルタ型に比べ感染力が高いオミクロン型の1日当たりの新規感染者数は第5波のピーク(2万5851人)を上回る可能性がある一方、重症化率は低いとされている。

 大量に発生した感染者が専門医療機関に集中すると「医療崩壊」を招くことになりかねないことから、軽症者が自宅で療養できる体制を整備することが喫緊の課題となっている。

 オミクロン型との闘いの最前線は、入院患者を受け入れる病院よりも住民にとって身近な存在である診療所となったと言っても過言ではない。ワクチンの追加接種以上に在宅医療体制の強化が第6波対策の成否の鍵を握っている。

 医師会、薬剤師会、看護協会に協力を求めたことで、在宅療養に対応できる全国の医療機関の数は1万6000となったとされている。首相は「計画をさらに3割上回る体制が準備できた」と自信のほどを示したが、お願いベースだけではたして大丈夫だろうか。第5波の「二の舞」になってしまうのではないかとの不安が頭をよぎる。

 昨年の夏、全国で感染者を管理する保健所の業務がパンクし、症状が悪化したのに入院できずに自宅で死亡するケースが相次いだ。この苦境の折、従来在宅医療を手掛けてきた一部の診療所が自治体と連携して自宅療養者への往診で奮闘したものの、大半の診療所は往診に参加しなかった。発熱患者を診断した診療所も陽性判定が出た後は、新型コロナが指定感染症であることを理由に保健所任せにしたケースが多かったと言われている。

 日本では非常時に病院に対して医療内容の変更を命令できる法的権限を国や地方自治体は有していない。「オミクロン型の症状は風邪やインフルエンザとよく似ており、致死率もインフルエンザ並みに下がった」といくら説明したとしても、「院内の感染防止はできないから患者を受け入れることは不可能だ」との固定観念に染まった多くの開業医の協力を得ることは難しいと思う。

 診療所が自宅療養者をケアする体制を構築するために必要不可欠なモノがある。それは飲み薬という武器だ。インフルエンザにはタミフルのように感染後に重症化を抑える飲み薬があることから、感染リスクがあっても一般の診療所は患者に対応している。

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