広島栗林、阪神伊藤が危ない…“2年目のジンクス”に陥る危険性が高い選手は?

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ストレートは140キロ程度

 投手でもう1人心配なのが伊藤将司だ。昨年は開幕からローテーション入りを果たし、チーム2位タイとなる10勝をマーク。夏場は少し成績を落としたものの、終盤には持ち直して10、11月度の月間MVPを受賞している。

 一方で気になるのは、ボール自体の力の無さだ。ストレートは140キロ程度で空振りを取れるボールではなく、奪三振率5.07という数字は、昨年セ・リーグで15試合以上に先発した投手の中では、高橋優貴(巨人)の4.86に次いで2番目に低い。

 1年目は右手を高く上げる独特のフォームに相手打者が戸惑っていた部分もあったが、今年は研究されてフォームにも慣れてくると対応されることも十分に考えられる。制球力の高さは大きな強みではあるが、昨年と同じ攻め方で同じ成績を残すことは難しいだろう。

 野手で1年目から、早くもジンクスに“半分はまった”と言えるのが佐藤だ。開幕からホームランを量産し、前半戦だけで20本塁打を放ったが、後半戦は、59打席連続ノーヒットを記録するなど完全に失速。新人最多記録となる173三振を喫し、最終的に打率は.238まで下降した。三振かホームランかというスタイルは決して悪いわけではないが、不調時はボールとバットが大きく離れているような空振りが目立つ。

オフの取材やテレビ出演などで

 また、変化球以上に速いストレートに対して完全に振り遅れるケースが多いのも大きな課題だ。大学時代は広角に長打を放つことができたが、プロではヒットの方向がライトに偏っているというのも、浜風の影響が強い甲子園を本拠地としているだけに気になるところ。まずは速いストレートに差し込まれず、強く打ち返す打席を増やしていくことが重要になりそうだ。

 今回ピックアップした3人以外の選手も昨年の活躍で今年は相手チームからのマークが厳しくなることは間違いない。また、1年目に大活躍すると、オフの間に取材やテレビ出演などで、練習時間が確保できずに苦しむケースも多いと言われている。そんな中でも成績を伸ばしていくには、やはり現状維持ではなくあらゆる面でのレベルアップは当然必要になってくる。プロの世界では3年連続して成績を残して一人前という言葉もあるだけに、多くの選手があらゆる障害を乗り越えて、本当の意味での“一流選手”へとステップアップしていくことを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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