広島栗林、阪神伊藤が危ない…“2年目のジンクス”に陥る危険性が高い選手は?

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 新人選手の空前の当たり年となった昨年のプロ野球。セ・リーグの新人王に輝いた栗林良吏(広島)以外にも牧秀悟(DeNA)、伊藤将司、佐藤輝明、中野拓夢(いずれも阪神)、伊藤大海(日本ハム)のルーキー5人が新人特別賞を受賞し、9勝をマークした早川隆久(楽天)や中継ぎとしてチームトップの54試合に登板した森浦大輔(広島)も欠かせない戦力となっていた。長いプロ野球の歴史を振り返っても、ここまで多くのルーキーがチームの主力として活躍した年はそうそうあるものではない。しかし、その一方で気になるのがいわゆる“2年目のジンクス”だ。【西尾典文/野球ライター】

五輪の疲労の影響が顕著

 過去にも華々しいデビューを飾りながら、2年目以降に苦しんだ選手は少なくないだけに、その危険性の高い選手とジンクスにはまらないために重要なポイントについて探ってみたい。

 まず投手で気になるのがセ・リーグ新人王の栗林だ。昨年の成績は53試合に登板して37セーブ、防御率0.86という非の打ち所がないものだったが、シーズン終盤は不安定な投球が目立ったことは確かである。主な投手成績を前半戦と後半戦に分けてまとめてみると、以下のようになった。

<前半戦>
34試合 33回2/3 被安打13 自責点2 奪三振54 四死球17
防御率0.53 被安打率3.48 奪三振率14.44 四死球率4.54

<後半戦>
19試合 18回2/3 被安打10 自責点3 奪三振27 四死球12
防御率1.45 被安打率4.82 奪三振率9.64 四死球率5.79

 前半戦が出来過ぎと言えばそれまでだが、全ての指標において後半戦の数字が悪化していることがよく分かる。前半戦は15試合あった三者凡退で締めたケースも、後半戦はわずかに4試合と大幅に減少。10月16日の巨人戦では、連続四球と長打で初めて2失点を喫し、シーズン最終戦となった11月1日のヤクルト戦では宮本丈にプロ入り初被弾も浴びている。

 レギュラーシーズンに加えて、東京五輪でも全5試合に登板したことによる疲労の影響は顕著で、ストライクゾーンを大きく外れるボールが目立った。フォークという絶対的な決め球があることは大きな強みだが、カウントをとるストレートとカットボールのスピードが落ちてくると、フォークでも空振りがとりづらくなる。他球団も昨年以上に投球パターンやフォームを研究してくるだけに、コンディションをしっかり整えて、ストレート系のボールの勢いをいかに維持できるかが大きなポイントとなるだろう。

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