日本のオジサンは世界一孤独? 早期死亡リスクがアップ…なぜ男性は社会と繋がれないのか

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「孤独信仰」の強い日本男性

 このような努力が本人側に求められる一方で、社会的孤立を防ぐ対策は社会の側にも求められるでしょう。

 例えば男性は、「寂しいから」という理由だけで自らコミュニティーに参加することに抵抗感を覚えやすい。孤独を認めることは「敗北」だからです。何か目的があり、その目的のために集まってきたのだという「建て前」が男性には必要なのです。実際、いちはやく「孤独担当大臣」を置いたイギリスなどでは、孤独解消のための場ではなく、あくまで一緒に「(高齢者向きの)歩くサッカーをするため」、あるいは「DIYをするため」といった名目で男性が集まれる空間「Men's Shed(男の小屋)」が多数設けられています。

「こどく」には、「個独(ソリチュード)」と「孤毒(ロンリネス)」のふたつの側面があります。「ひとりの時間っていいよね」という意味で「個独」を楽しむ分には全く問題ないわけですが、「ひとりでいて寂しい」という「孤毒」の感情を押し殺すべきではありません。

 しかし、レイモンド・チャンドラーの小説の登場人物のように、ひとりでタフに生きていくことに憧れている「孤独信仰」の強い日本の男性は、「個独」を選んだはずなのにいつの間にか「孤毒」に陥っていたというケースが少なくない。そして、アメリカ・ブリガムヤング大学のホルトランスタッド教授は2010年、「社会的繋がりを持つ人は、持たない人に比べて、早期死亡リスクが50%低下する」という分析結果を発表しています。孤独はまさに「死に至る病」なのです。

 ですから、老後のための「蓄財」を意識するのであれば、人との繋がりや繋がる力を蓄えていく「蓄人」も意識していただけたらと思います。

岡本純子(おかもとじゅんこ)
コミュニケーション・ストラテジスト。1967年生まれ。早稲田大学卒業後、読売新聞経済部記者、電通パブリックリレーションズコンサルタントを経て、企業などのコミュニケーション力の強化を支援する「株式会社グローコム」を設立。著書に『世界一孤独な日本のオジサン』『世界最高の話し方』がある。

週刊新潮 2021年12月16日号掲載

特集「お金の問題だけじゃない 老後の一大危機 『社会的孤立』を防ぐ法」より

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