“第二の阪神・中野拓夢”は出るか…下位指名でも即戦力として期待できる9人のルーキー

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日本人離れした体格とパワー

 一方の野手では、末包昇大(広島6位・大阪ガス)と豊田寛(阪神6位・日立製作所)の外野手2人が面白い。末包は東洋大ではリーグ戦通算わずか6安打だったものの、社会人で急成長を遂げ3年目にしてチームの主砲へと成長した。日本人離れした体格とパワーで、社会人日本代表候補合宿でもナンバーワンの打球速度を記録しており、都市対抗でも1回戦でバックスクリーンへのホームランを放っている。レベルの高い変化球への対応には課題が残るものの、強肩も持ち合わせており、主砲・鈴木誠也の抜けた穴を埋める存在として期待がかかる。

 豊田も強打が魅力の外野手で、末包ほどのパワーはないものの、パンチ力と確実性を備えた打撃が光る。都市対抗でもライトスタンドへホームランを放っているように、広角に長打を放つことができるのが大きな魅力だ。昨年、外野の一角を担ったサンズが退団したため、長打力のある右打ちの外野手はチームにとっても貴重な存在となるだろう。

 このほか、レギュラー獲得とまではいかなくても一軍の戦力となる可能性がありそうなのが、野村勇(ソフトバンク4位・NTT西日本)、渡部遼人(オリックス4位・慶応大)、上川畑大悟(日本ハム9位・NTT東日本)の3人だ。野村はパンチ力と内野も外野も守れる器用さが光るユーティリティプレーヤー。ベンチにいると非常に助かるタイプであり、レギュラー陣を休ませるタイミングでスタメンのチャンスが回ってくることも十分にあるだろう。

 渡部と上川畑はとにかく高い守備力が魅力。ともに打撃に関しては非力さが課題となるが、渡部は外野、上川畑は二遊間のバックアップ要員として重宝される可能性は高い。

 キャンプではどうしても1位指名の選手に注目が集まるが、指名された順位がイコール現時点での選手の実力というわけではない。そしてここで紹介した選手は大学、社会人で実績を残してきた選手たちばかりで、持ち味を上手くアピールすることができれば、第2、第3の中野が出てくることも十分に期待できるだろう。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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