二人の「藤井聡太キラー」が語る攻略法 「あえてAIとは別の手を指す」

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 二冠から四冠へ。この1年で獲得タイトルを倍にし、棋界序列1位に上り詰めた藤井聡太・竜王(19)。が、彼にも“苦手”とする棋士がいる。四冠に対戦成績で勝ち越す「藤井キラー」たちが、その攻略法を語った。

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 2022年で藤井四冠はデビュー7年目を迎えるが、通算勝率は8割超と、驚異的なペースで勝ち続けている。一時1勝7敗と大きく負け越した相手、「天敵」といわれていた豊島将之・前竜王に対してもこの半年は12勝3敗と圧倒し、“死角”はないように見えるが、実は160人を超える現役棋士の中で、複数回の対戦があるにもかかわらず、負け越している棋士がまだいる。大橋貴洸(たかひろ)六段(29)、深浦康市(こういち)九段(49)の二人である。

「なぜ勝ち越しているのか? それは正直、私にもよくわかりません」

 と述べるのは、大橋六段。16年にプロ入り。奇しくも藤井四冠とは同期デビューに当たる。これまで5回対局し、2連敗の後、3連勝を果たしているのだ。

「勝利した3局は“横歩取り”という、自分が指し慣れた得意の戦型で臨むことができました。それが良い結果に結びついたのかな、と。また3局目は藤井さんにもミスがありました。ただ最後に戦ったのは2年ほど前ですし、今の藤井さんを見ていると、更に隙がなくなっていますからどうなるのか……」

藤井四冠の強みとは

 四冠の陰に隠れがちだが、大橋六段もデビュー以来、7割を超える勝率を残し、棋戦で2回の優勝を誇る「若手のホープ」だ。

 また、対局時にはカラフルなスーツを着たり、最近でもチョコレートをプロデュースするなど、本業以外でも話題豊富である。

「将棋で勝つのが一番ですが、それ以外にも枠を広げていきたい。ファンの皆さんへの御礼になりますし、一般の方々が将棋を知るきっかけになればと思っています」

 その大橋六段は改めて、同期・藤井をどう見るのか。

「序盤の研究が進んできていますよね」

 として続ける。

「対局して感じるのは、常に将棋の傍にいるのではないか、ということ。盤を挟んで向かい合っていて、ふと藤井さんはきっと日常もこれと同じ感覚で過ごしているのでは……と感じる瞬間があるのです。常に将棋と一緒にいるといいますか。プロでも24時間将棋のことを考え続けるのは難しいですが、その辺りが、強さの原点ではないかと思います」

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