年末年始の定番「警察24時」の光と影 視聴者には決して言えないテレビ局の事情

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 年末・年始を思わせるテレビ番組は減る一方だが、代わりにこの時期の定番と化したのが民放各局の「警察24時」。この年末・年始も計4番組が放送された。なぜ、こんなに多いのか。

 年末・年始に放送された警察密着番組はテレビ東京の「激録・警察密着24時!!」(12月26日、2時間半)、関西テレビや東海テレビで放送された「激撮!犯罪捜査24時 悪い奴らは全員逮捕だ!2021」(同、1時間30分)、TBS「最前線!密着警察24時」(同27日、5時間)、テレビ朝日「列島警察捜査網 THE追跡 2022冬の事件簿」(1月4日、3時間)。

 みんなタイトルが似ている。中身もソックリ。長時間番組であるところも一緒である。どうして同じような番組が量産されるかというと、制作費が安く済む上、一定の視聴率が見込めるからだ。民放が求める番組の象徴のような存在なのである。

 なぜ、制作費が安いのか。最大の理由は警察には謝礼を払う必要がないからである。2時間を超えるドラマをつくろうとしたら、役者のギャラは総額で1000万円は下らない。それが、警察官たちが相手ならゼロ。公務員が副収入を得ることは基本的に禁止されていることは、書くまでもない。

コストパフォーマンスの良さ

 そもそも警察官たちにとって各局の「警察24時」への出演は公務。広報活動の一環だ。頼もしくて誠実な警察官が画面に登場すれば格好のPRになる。市民の警察への理解が深まり、捜査への協力が得やすくなる。リクルート活動にも役立つ。警察側には良いことずくめなのである。

 一方、各局にとってはコスパが最高に良い。「警察24時」にはスタジオ部分がなく、全編VTRだから、スタジオ代やセット代が要らない。MCもいないので、そのギャラも考えずに済む。その上、リポーターも存在せず、取材するのはディレクターなので、人件費が極端なまでに抑えられる。

 世帯視聴率はおよそ6%から10%以上だから悪くない。2000年代までは20%前後の極めて高い世帯視聴率を獲ることもあった。

 12月26日放送のテレ東「激録――」は世帯視聴率が5.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。一見、低い数字だが、同時間帯で争ったのがテレ朝系「ポツンと一軒家3時間スペシャル」やフジテレビ「全日本フィギュアスケート選手権」など強力番組だったことを考えると、健闘と言える。

 なにより、コア視聴率(13~49歳)ではNHK大河ドラマ「青天を衝け」の最終回を上まわった。根強いファンがいるのである。

 年末・年始に多く放送される理由は各局が特番体制に入るため。番組ラインナップを決める編成部が、この時期は長時間の特番を配置する。普段は配置できない長時間番組が重用される時期なのだ。

 12月26日のテレ東「激録――」では、千葉県警の職質(職務質問)指導班が夜ふけにスケボーをしている若者3人を見つけ、職質をかけようとしたところ、1人が逃げ出した。この若者を捕らえて調べたら、薬物が発見された。現行犯逮捕である。

「職質」、「逃走」、「違法薬物の発見」。どの番組にも共通するセオリーだ。職質の神様が登場するところも各番組の一致点である。

 関テレ、東海テレビの「激撮!――」は福岡県警交通機動隊や三重県警機動捜査隊に密着した。これもお約束ネタだった。

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