「フレイル」「ロコモ」を放置すれば要介護に 中高年が知るべき対策方法とは

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 寒い寒い、コロナもまだ怖い。やっぱり家に閉じこもりがちになりそうな今年の冬。が、「ステイホーム」の裏には、隠された危険もある。加齢に伴って身体の機能が低下する「フレイル」「ロコモ」。以下は、介護生活に陥りたくない中高年が知るべき、その防御術である。

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 まずは、掲載の図にある「立ち上がりテスト」を試みていただきたい。40センチほどの高さの椅子から、片脚で立ち上がって3秒間姿勢を保持する。これができなければ、あなたは「フレイル」「ロコモ」の一歩手前、つまり、将来の「要介護」予備軍かもしれない……。

 コロナ感染者数が急減したのも束の間、オミクロン株が登場し、第6波到来の可能性も取り沙汰される。加えて日に日に寒さは増し、再び巣ごもり生活に舞い戻りそうなこの冬。

「感染予防も重要ですが、それと同じように、フレイル対策にも十分留意してほしいと思います」

 と語るのは、東大名誉教授の大内尉義(やすよし)氏である。

 フレイルとは「虚弱」との意味で、加齢に伴い、筋力や食べる力、認知機能、社会とのつながりなどを含む、心身の活力が低下した状態を指す言葉だ。

 また、ロコモという言葉もある。ロコモティブシンドロームの略で、運動器(身体を動かす器官)の障害により、歩行・立ち座りなどの移動機能に低下をきたした状態と定義されている。

「要介護の一歩手前という点では同じですが……」

 と述べるのは、整形外科医で大阪・宮田医院院長の宮田重樹氏。

「フレイルが身体だけでなく、精神的、社会的な側面での『衰弱』が含まれる一方、ロコモはそのうち身体、運動機能の障害を表します。いずれにせよ、両者とも、そのままにしておけば要介護状態、そして寝たきりへと進んでいきますが、逆に言えば、フレイルやロコモの段階、あるいはその前段階で手を打てば、そこに至らずに済むのです」

フレイル状態の患者は約270万人

 日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳まで延びているが、平均で男性は9年、女性は12年余りを介護などが必要な状態のままで最後を迎えるという。単に長生きするだけでなく、自立した生活ができる生存期間=健康寿命を延ばすことも重要で、そのためにも、フレイル・ロコモ対策は重要なのだ。

「フレイル状態の“患者”は、全国で男性100万人、女性170万人いるとの調査結果が出ています」

 と前出・大内教授が言う。

「健康長寿を達成するために、フレイル対策は国民的課題となっていますが、コロナの流行によってさまざまな活動が制限され、高齢者は外出や運動の機会が減り、食も細くなっている。コロナによって、高齢者のフレイルが進んでいるのは間違いないと思います」

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