恒例の「相棒・元旦スペシャル」はSeason1で放送されなかった理由

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 テレビ局各局が力を入れる年末年始の特番。中でもすっかり定着したのが人気刑事ドラマ「相棒」(テレビ朝日系)の元日スペシャルである。毎回、映画を思わせるスケール感だが、特に2022年は、反町隆史演じる冠城亘が最後となるので、より注目度も高いのではないだろうか。

 だが、実はいうと「相棒」の元日スペシャルはseason1では放送されていない。その理由はなぜなのか? この謎を解くためにはこのドラマがどうやって生まれたのか。その成り立ちが深く関係している。以下、解説していこう。なお、文中に出てくる視聴率は、すべてビデオリサーチ調べ・関東地区・世帯視聴率となっている。

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 かつてテレビ朝日の土曜夜には2時間サスペンスドラマ枠である「土曜ワイド劇場」が放送されており、好評を博していた。この「土ワイ」のシリーズものの1つとして放送されていたのが、水谷豊が主演する「探偵事務所」だ。1994年10月の第1作に始まり、99年6月まで全5作が制作された。これは原作小説をドラマ化したものだったが、映像化されていない原作小説が残り1作となった時点で、同番組のプロデューサーが水谷主演の新シリーズを立ち上げることになったという(※1)。

当初は“名探偵もの”案も

 また、このプロデューサーは「京都お見合いツアー殺人事件」という寺脇康文主演のシリーズものも手掛けていた縁で、寺脇が水谷の熱烈なファンであることを知っていたという。実は日本テレビ系で放送されていた刑事ドラマ「刑事貴族」シリーズで、寺脇は水谷と共演している。このときの経験が寺脇にとって大きな刺激になっていたのだ。そうしたことから、水谷&寺脇のコンビものという企画に決定、寺脇は「相棒」の初代相棒・亀山薫を演じることとなったのである。つまり、「相棒」は2時間サスペンス枠として始まったのだ(※1)。

 相棒を制作する東映のウェブサイトによれば実に構想1年半以上。その間に5つの企画書がボツになったという。新シリーズの脚本家には、輿水泰弘の名が挙がった。先のプロデューサーがたまたま目にした明石家さんま主演の連ドラ「恋のバカンス」(97年1月~3月・日本テレビ系)に感銘を受け、メインライターだった輿水に白羽の矢が立ったというわけだ。運よく本人の了承をもらうことに成功したが、問題だったのは彼のスケジュールが1年先まで埋まっていたことだった(※1)。

 当初は輿水が“名探偵もの”、プロデューサーが“警視庁の刑事もの”と、方向性が分かれる提案をしていた。しかし、探偵では事件に関わることになる詳細なプロセスが必要という理由で、刑事という設定になったそうだ。さらに所轄と異なり扱う事件が多岐にわたるという点で、警視庁所属の刑事という設定が採用された(※2)。

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