M-1王者・錦鯉「くすぶり中年」が見事に逆襲した舞台裏

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 漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2021」(以下、M-1)で優勝を遂げ、第17代チャンピオンとなった錦鯉(長谷川雅紀・渡辺隆)。優勝決定の場面では審査員の富澤たけし(サンドウィッチマン)、塙宣之(ナイツ)ももらい泣きするなど、大会史上に残る感動の名場面となった。

くすぶった中年でも評価してもらえる時代に

 M-1の事前広告では「人生、変えてくれ」とあったが、まさにその通り。いまやテレビで見ない日はない錦鯉だが、彼ら初の著書である『くすぶり中年の逆襲』(新潮社)にも注目が集まっている。発売後の反響や、読者から寄せられた声はどうだったのか。担当編集者に話を聞いた。

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「決勝の舞台に、50歳のオジサンを連れてくることができてよかったです!」

 M-1最終審査発表を前に、渡辺はこう語った。この一言に、コンビの全てが凝縮されているという。

「隆さんはとにかく、雅紀さんが第一なんです。打合せをする際、テレビやラジオと同じように雅紀さんがボケて、隆さんがツッコむ絶妙なトークを聞かせてくれます。隆さんのツッコミはいつも当意即妙なのですが、何度も話を伺っていくうちに、雅紀さんのことを心から敬っているのだな、ということが分かりました。漫才では、雅紀さんの頭をパンパンと激しく叩いていますが、実は本当に“愛のある”ツッコミなんだと。雅紀さんも、隆さんに全幅の信頼を置いています。二人は7歳差ですが、年齢は関係なく、固い絆で結ばれていることが、改めて分かりました」

 授賞式後、インタビューに応じる長谷川が手にしたトロフィーを、さりげなく渡辺が受け取る姿をご記憶の方も多いだろう。何気ないようでいて、しっかりと長谷川を補佐し、気を遣っているのだという。

 同書は二人が語り下ろすスタイルで、生い立ちから始まり、芸人を目指し、そして下積みを経てブレイクするまでを書いている。最初は長谷川と渡辺、それぞれで書き分け構成する案を考えていたが、

「お二人の魅力を知ってもらうためには、いつもと同じ雰囲気そのままにするのが一番だと思いました。タイトルにもあるように、くすぶり中年がどうやってブレイクを果たしたか、をメインにしましたが、やはり、芸人さんの本なので、楽しく笑って読んでもらえることを第一に考えました」

 ちなみに担当編集者は53歳。「中年の星」と呼ばれた錦鯉の活躍は嬉しく、そして頼もしいものだった。書籍のタイトルは、渡辺が雑誌で「くすぶった中年でも、実力ときっかけがあればきちんと評価してもらえる時代になりつつある気がします」というコメントから思いついたという。

「というわけで、担当編集者もオジサン。当初、メインに想定した読者もオジサン。最初の頃に考えたPR文言なども、とにかくオジサン目線や視点に溢れていたのですが……」

「雅紀さんとコンビを組めて、よかった」

 11月17日の書籍発売後、公式Twitterには読者から多くの声が寄せられたが、その大部分が女性だった。さらに「隆さんが雅紀さんのことを思う気持ちに泣けてきた」「笑えるけど、最後は涙が止まらない」「二人のつながりがよくわかって、錦鯉がもっと好きになった」といった声が寄せられた。

「嬉しかったですね。楽しく笑える本にはしていますが、もう一つ、二人の絆というか、特に隆さんが雅紀さんを“絶対に売れる芸人にしてやる”という思いを秘めて舞台に立っていたという部分に共鳴していただける方が多くて。もちろん、オジサンの読者もいらっしゃいますが、やはり『泣けた』という感想が多くて。錦鯉の魅力が伝わってよかったと思います」

 同書の中で、渡辺は長谷川の第一印象を「何だこのバカな人は」と語っているが、寄せられた感想の中で、以下の渡辺の言葉に共感を抱く読者が多かったという。

「売れさせるというよりも、雅紀さんは売れなきゃいけないんだという思いも強く持ったな。だからこそ、雅紀さんをもっと知って欲しい。こんな面白い人がいるんだということを知らしめたい」

 M-1で優勝を決めた直後、渡辺は長谷川に「ありがとう」と耳元でささやき、たまらず泣き出す長谷川を見ながら、マイクに向かってこう言った。

「雅紀さんとコンビを組めて、本当によかったです!」

 史上最多、6017組のエントリーから頂点に立った錦鯉。二人の魅力と絆の深さを知る数々のエピソードは本書に譲るが、番組内で涙ぐんだ長谷川は、終了後の記者会見でこう語った。この一言にも、コンビの全てが凝縮されていると担当編集者はいう。

「いちばん、感謝を伝えたいのは相方の渡辺隆です」

デイリー新潮編集部