日本は北京五輪をボイコットできるのか 専門家は「迅速に態度を表明しないと国際社会で非難される」

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北京五輪で抗議表現をすれば逮捕される

 東京五輪では、女子サッカーの試合で選手がピッチに片膝をつく姿が見受けられた。これは黒人差別に抗議するBLM運動への共感を表明するポーズで、条件付きながらIOCもこうした行為を認めている。

「ただ、中国国内では国家安全法の下、そのような抗議表現は認められません。たとえば、香港では独立を訴えるスローガンや旗を掲げるだけで逮捕されてしまう。こうした事例に鑑みると、北京五輪開催への不安が払拭できていないのは事実です。日本政府としては外交的ボイコットも視野に入れながら、先の東京五輪で表現の自由や多様性を認めてきたことをはっきり主張すべきだと思います」(同)

 欧米各国のボイコットが現実味を帯びるなか、それでも、日中関係の悪化に配慮して座視し続けるのか。

「天安門事件」直後の1989年7月に開かれたG7サミットでは、中国への非難宣言の採択を目指す欧米諸国に日本だけが反対。日本の主張を反映してG7は新規共同制裁を見送った。さらに、日本は翌年7月に円借款再開を表明し、中国の国際社会への復帰を後押しすることとなった。

 無論、欧米と足並みを揃えることが常に最善手とは限らない。だが、日本が何の覚悟も示せないまま、北京五輪を迎えてしまっては、それこそ中国の思うつぼと言う他ないだろう。

週刊新潮 2021年12月16日号掲載

特集「『放映権料136億円』失っても譲らない『WTA』が満天下に示した『習近平』の御し方」より

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