「ドクターX」大門未知子にはモデルがいた! 脚本家・中園ミホ、医師・加藤友朗が明かす裏側

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 人気ドラマ「ドクターX」で米倉涼子が演じる外科医・大門未知子には複数のモデルが存在するのをご存じだろうか? その一人が、本誌(「週刊新潮」)連載でおなじみのNY在住の医師、加藤友朗氏である。脚本家・中園ミホさんとのリモート対談で明かされた、ファン必読の秘話。

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 2012年にスタートして以来、放送される度に高視聴率を叩きだすテレビ朝日系の人気ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」。現在放送中の第7シリーズでも、米倉涼子演じる孤高の天才外科医、大門未知子が白衣の裾を翻して活躍する様を堪能できる。そんな人気シリーズを手がけてきた脚本家の中園ミホさんによると、大門未知子には複数の「モデル」がいる。その一人こそ、本誌連載「人生で必要な英語はすべて病院で学んだ」の筆者、加藤友朗氏である。

 医師で米ニューヨークのコロンビア大医学部外科教授でもある加藤氏。東京大薬学部、大阪大医学部を卒業した後、1995年に渡米し、同国で脳死ドナーからの肝臓及び小腸の移植手術を多数手がける臓器移植の世界的権威である。彼が世界で初めて成功させた「多臓器摘出体外腫瘍切除手術」は「ドクターX」の第2シリーズ(2013年)で描かれた。

作品内でコロナを描いたきっかけ

中園 初めてお会いしたのは第2シリーズの時でしたね。最初にお会いしたのはどこでしたっけ?

加藤 六本木ですかね。

中園 米倉さんで一匹狼の外科医の話をやりたいと言ったら、モデルにピッタリのスーパードクターがいる、と「ドクターX」の内山聖子プロデューサーが教えてくれたんです。「日本を飛び出す」とか「組織から離れる」とか、こっそりですけど加藤先生の経歴を参考にさせていただいて、キャラを作っていきました。あと、外科医というとどうしても粗野な感じがしてしまうんですけど、加藤先生ってかっこいいじゃないですか。お洒落で。大門未知子をお洒落でかっこいい女性外科医にしたところも、実は加藤先生の影響を受けています。

加藤 そうなんだ(笑)。

 加藤氏は昨年3月に新型コロナウイルスに感染。体外式膜型人工肺、ECMO(エクモ)を使用しなければならないほど重症化し、まさに死線をさまよった末に生還した。意識のない期間は実に3週間にも及んだ。

中園 今回の第7シリーズは、それこそ加藤先生がいなければ成り立たなかったですね。というのも、先生がコロナに感染したというのを聞いて……。新しいシリーズでコロナを描くかどうかというのはとても迷いました。いろいろ話し合ったんですよ。現実と同じものを視聴者が見たいだろうか、ということもあるし、そもそも描くのも難しいし、どうしようかと。それで、今年3月に回復後の加藤先生からお話をリモートで聞かせていただきました。こんなことを言っていいのか分からないですが、そのお話がすごく面白かった。命のやり取りをしている人の余裕なのかもしれません。胆が据わっているので普通の人と見方が全然違うし、ご自分のことを客観的に見てらして。スーパーマンみたいな加藤先生がこれだけ大変な思いをしたのか、と、本当にコロナの“重さ”が分かりました。先生とお話ししていなかったら、怖くてコロナは描けなかったと思う。すみません、お礼が遅くなりました。本当にありがとうございました。

加藤 いえいえ。あの時は長く話しましたよね。

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