憲法改正の本音を改憲勢力4政党のキーマンが語る 硬直する自民…国民・玉木代表は「野党も議論すべき」

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「安倍さんのスタンスが見えない」

 先日、自民党との二幹二国(双方の幹事長と国対委員長による)の会談に臨んだという馬場氏は、

「定例日にきちんと憲法審査会を開くよう自民党にリーダーシップを発揮してほしいと伝えたら、茂木幹事長は“ご意見を受け止めて前向きにやっていきます”と仰っていた。しかも、岸田総理も意欲を示されている。これで何もやれへんかったら、自民党が“やるやる詐欺”と批判されても仕方ないやろね」

 一方、自民党最大派閥の清和会は、細田派から安倍派に衣替えした。安倍氏のスタンスを考えれば、今後の改憲議論にも影響を与えそうだが、派閥の幹部は周囲にこう漏らしている。

「安倍さんは極めてプラグマティック(実利を重んじる)な性格だから。どこまで憲法改正を推していくのか見えないところがある」

 また、政治部デスクはこう指摘する。

「安倍さんと違って、岸田さんはこれまで改憲には慎重な姿勢を崩さなかったが、安全保障政策については保守的な部分があるし、保守層からの支持を取りつけたい意図も見え隠れする。また、総理としてのレガシーを考えた時に、自民党結党以来の宿願である改憲を成し遂げることへの色気もあるはず。ただ、新型コロナ対策や経済立て直しといった喫緊の課題と同時に、国民世論を二分しかねない改憲議論を推し進めるのは相当困難だと思います」

 各党のキーマンからは“四者四様”の意見が飛び出し、着地点は見出せない。

 これまで時代が変化しても憲法は1ミリも変わらなかった。図らずも環境が整い、機が熟したというのに、いざとなったらその本気度に疑問符が付く自民党。憲法における自衛隊の位置付けを曖昧にしたい姿勢が透けて見える公明党。奇妙な按配に苦笑するほかない。これを得意の“聞く力”だけでまとめるのは至難の業。果たして、岸田総理は疫禍の最中にもたらされた“好機”をものにできるのか。

週刊新潮 2021年12月9日号掲載

特集「機が熟したのに『自民党』は硬直? キープレーヤーに聞いた『憲法改正』の本音」より

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