憲法改正の本音を改憲勢力4政党のキーマンが語る 硬直する自民…国民・玉木代表は「野党も議論すべき」

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「中山ルール」

 改憲を結党以来の党是に掲げる自民党は、党内に設けられた憲法改正推進本部を「憲法改正実現本部」に改称し、前向きな姿勢をアピールする。

「今年6月には改正国民投票法も成立して改憲への道筋が整いました。重要なのは各党が憲法改正原案を作成し、憲法審査会に持ち寄って議論を前に進めることに尽きる。これは主権者たる国民に対する責務です」

 そう断じるのは、衛藤征士郎・前推進本部長だ。

「現在の憲法はGHQがおよそ1週間余りで作った草案をもとに作成され、それが一度も変更されることなく戦後76年を迎えてしまった。その間に、日本と同じ第2次大戦の敗戦国であるドイツは65回、イタリアは16回も憲法を改正しています。しかし、日本だけは遅々として話が進まない。憲法審査会の前身に当たる憲法調査会が国会に設置されたのは2000年なので、すでに20年以上も議論を積み重ねてきた。にもかかわらず、ある会派が反対したら、週に1度の定例会すら開かれない状況が続いてきました」

 その背景には、衆院憲法調査会の初代会長・中山太郎元外相が考案した紳士協定の存在がある。憲法審査会の運営は基本的に与野党の合意を必要とするため、与党は「中山ルール」に則り、野党が開催を拒めば、無理に会合を開かないよう配慮してきたのだ。

玉木氏は「議論そのものを避ける風潮は改めるべき

「ただ、共産党のように憲法には一切手をつけたくない、議論もしないという態度はいかがなものか。中山先生が会長を務めた時代とは憲法を巡る情勢も大きく変化しています。会合は満場一致ではなく、賛成多数であっても開催すべきでしょう」(衛藤氏)

 この点については国民民主党の玉木雄一郎代表も理解を示す。

「改正に反対する立場であっても、議論そのものを避ける風潮は早急に改める必要があります。我々は議論を尽くすために国会議員の身分を頂戴しているのですから、定例日に憲法審査会を開くこと自体が大きな争点になっている現状は異常と呼ぶほかありません。折に触れて国会を“開け”と与党に迫る野党が、憲法審査会についてのみ“開くな”と言うのでは筋が通らない。まずは議論の場を確保して、コンセンサスを形成することが大事だと感じますね」

 また、公明党の北側一雄副代表も、

「わが党は、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義という憲法の3原則を守りつつ、時代の進展に伴う新しい価値観を憲法に加える“加憲”を掲げていますが、積極的に憲法論議を進めていく立場に変わりありません。憲法審査会でしっかりと論議を積み重ねることが大事なので、まずは週1回の定例日に審査会を必ず行う。その上で、テーマと優先順位を決めて、可能な限り広く合意形成に努めるのが肝要だと思っています」

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