「何度もやりなおして解決に至る」のネイティブな表現は? 在米医師が教える生きた英語

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 コロンビア大学医学部外科教授であり、ニューヨークのトップドクターとして知られる加藤友朗医師。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)の著者でもある加藤氏が日常で出会う“ネイティブ英語”を紹介。

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 大谷選手の二刀流は英語でなんと言うかわかりますか? 英語ではtwo-way player「双方向の選手」「攻めても守っても良い選手」ということになります。サッカーやバスケットボールでは攻める時と守る時ではボールの方向が逆なのでそう言うのではないかと思いますが、面白くもなんともない表現ですよね。ちなみに、日本でもアメリカでも子供の頃は投打ともに優れている選手が多く、最終的にはどちらかを選ぶことになるわけですが、それをしないでどちらもやっている大谷選手はメジャーを目指すアメリカの若者にも衝撃だったようです。

 さて今回の表現はhammer out。hammerはハンマー、金槌のこと。hammer outは金槌で叩いて鉄を延ばす手技ですが、仕上げるまでには何度も繰り返し叩く必要があります。ですからhammer outは「繰り返し議論して合意に至る」「何度もやり直して仕上げる」という意味になります。漫画でDr. Adamが言っているのは「細部はまだ何度も書き直さなければいけないが、全体的にはよく書けている」ということです。

 hammer outの使い方の例は“The parties had to hammer out all the details before coming to an agreement on the Trans-Pacific Partnership.”「環太平洋パートナーシップでは合意に至るまでに参加国が何度も細部の全てを検討する必要があった」や、“I know there is a long way to go, but if we continue these discussions, we should be able to hammer out a solution.”「長い道のりなのはわかっているけど、議論を続ければ解決に至れるはずだ」などです。

 では練習問題です。(答えは下)

1.日本語に訳すと?

“Hammering out a bipartisan deal is painful these days.”

2.hammer outを使って英語で言うと?

「その解決法をなんとか見つけ出すまで我々は家に帰りません。」

加藤友朗(かとうともあき)
コロンビア大学医学部外科教授。東京大学薬学部、大阪大学医学部を卒業後渡米。世界初の多臓器摘出体外腫瘍切除手術を成功させ、ニューヨークのトップドクターとして世界中から集まる患者の命を救う。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)が発売中。

週刊新潮 2021年9月9日号掲載

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