売れっ子子役から地下アイドル、AV女優に…営業職も始めた「27歳女性」が最近感じること

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 映画の出演者にとって、撮影現場はとにかく待ち時間が多い。特に主演女優ではない「その他」のキャストの人達は。“脱ぎ役”としてオファーされたAV女優の紗里奈(仮名)と出会ったのも、ある映画の現場だった。【酒井あゆみ/ノンフィクション作家】

 実年齢は27歳。しかし、幼い容姿のせいか、21、2歳ぐらいしか見えない。だが、その幼いルックスとは裏腹にスラリとした長身だ。

 AV出身の女の子は、いわゆる一般映画の出演を極端に嫌がる。ギャラが格安な割に拘束時間が長いからだ。1日の撮影時間は朝6時集合で終わりがテッペン(24時)を超える場合が多い。「その他」の演者たちは、短くて10分、長くても1時間もない撮影のために、ほぼ一日、決められた場所で待機していなければならない。一応、台本は渡されるが、セリフなどはない場合が多い。

 一方、AV撮影はすぐに済む。極端な話、カラミのシーンを撮れたらそれで作品が出来てしまう。だから大半のAVプロダクションは一般作品の仕事を断るケースが多い。女の子を怒らせてしまうと、次の仕事に影響しかねないからだ。

 だが、紗里奈(仮名)は待ち時間でも、他の女の子と談笑していた。現場スタッフにしてみれば、そういう女の子が一人でもいるととても助かる。「待ち時間、長すぎるよね」などと一人の女の子が言い始めたらもう現場の空気が変わってしまう。

「私、子役からやってるんです」

 話を聞いてみると、そう返事がきた。現場の事情をよく分かっているようだった。興味をもって、後日、あらためて彼女に話を聞いてみることにした。

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