元公安警察官は見た 民主党議員を手玉に取って詐欺的ビジネス……中国一等書記官のあり得ない行状
捜査線上に浮かんだ
李は、都内の健康食品会社から顧問料、同社の関連会社から役員報酬も得ていた。さらに、千葉市内のアパートを約4000万円で購入。中国人を入居させ、家賃収入を得ていたという。
「実を言うと、公安部は李氏のことを2005年に発生した海上自衛隊の情報漏洩事件の頃からマークしていました」
この事件は、技術研究本部(現・防衛装備庁)の元技官が潜水艦の船体工法などに関する部内向けの論文を日本人貿易業者に渡したというものだった。技官と貿易業者は北京で人民解放軍関係者と面会したため、警視庁公安部の外事2課は総参謀本部第2部の工作とみて捜査に乗り出した。
公安は窃盗容疑で元技官の自宅を家宅捜査した。もっとも、流出した機密のレベルが低かったため自衛隊法での立件はできなかった。
「捜査の過程で、捜査線上に浮かんだのが李氏でした。彼はすでに日本の防衛関係者に人脈を築いていました。そのため外事2課は数年にも渡って李氏をマークしていたのです。李春光事件では、『農林水産物等中国輸出促進協議会』のことがメディアに報道されていますが、彼が本当に狙っていたのは防衛機密だったとみています」
公安部は2012年5月中旬、外国人登録証明書を不正に取得したとして、外国人登録法違反と公正証書原本不実記載・同行使の容疑で李に出頭を要請した。しかし、5月23日、李は中国へ帰国。日本にはスパイ活動を取り締まる法律がないため、書類送検して事件は終了した。
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