立民代表選、不発に終わった「泉健太包囲網」… 小川淳也は決戦投票に残る気満々だった

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 立憲民主党の新代表に泉健太議員が選出された10月30日の午後6時。小川淳也議員は有楽町の駅頭に立っていました。恒例となった青空対話集会。小川氏は代表選からの解放感と、敗れた悔しさが入り混じった表情で語り始めました。

「代表選挙は学ぶところが多かったです。自分を見つめなおし続けた10日間でした。今回…実は決選投票に残る気満々だったんです。そして決選投票に残れば、かなりの確率で勝算はあると思っていました」

 ギリギリで代表選出馬に漕ぎつけた小川氏ですが、実は代表の座に指が掛かっていた。立民代表選を巡る激しい駆け引きの舞台裏を取材しました。

【青山和弘/政治ジャーナリスト】

トップランナー泉健太の憂鬱

 選挙戦で当初から先頭を走っていたのは、枝野代表の下で政調会長を務めた泉氏でした。党三役を務めていた安定感の一方で47歳という若さ。そして中道に軸足を置く立ち位置。小沢一郎議員らの支持を得て、早々と党所属国会議員140人の内45票近くを固めて優位に立っていました。ただ4人が出馬したため1回目の投票で過半数を超えるのは困難で、決選投票にもつれ込むのは確実な情勢でした。

 実は泉氏の頭を悩ませ続けていたポイントがここにありました。決選投票でリベラル色の強い3陣営が結託する、いわゆる「泉包囲網」が敷かれ、逆転されるのではないかという懸念でした。泉氏は去年まで国民民主党に所属していたことから、「外様」という扱いを少なからず受けてきました。立民ではそれぞれの議員が元々どこの政党にいたかの色分けが根強く残っています。

小沢一郎、「動こう」とする

 この状況を打開しようと動いたのが小沢氏でした。小沢氏は一回目の投票で3位になるとみられていた逢坂陣営に幹事長ポストを約束することで、決選投票では泉氏を支持するよう確約を取ろうと考えたのです。

 代表選5日前の11月25日、小沢氏はこの考えを泉氏に持ち掛けます。しかし泉氏は「それはちょっと待って欲しい」と首を縦に振りませんでした。泉氏周辺はこう語ります。「ポストの約束が早くから表に出て、裏取引と見られるのは避けたかったのだろう。あと泉さんは小沢さんが前に出ることにも慎重だった」

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