立民代表選、不発に終わった「泉健太包囲網」… 小川淳也は決戦投票に残る気満々だった

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予測できなかった地方議員・党員票

 11月30日。情勢混沌のまま迎えた決戦の日。都内のホテルで臨時党大会の設営が急ピッチで進んでいる最中、地方議員票・党員票を巡る情報が私のもとにも入ってきました。

「地方票で意外に逢坂氏への組織票が強そうで、2位で決戦に進むのは逢坂かもしれんぞ」

 13時、党大会スタート。4候補の演説の後、国会議員の投票が行われる前に地方議員、党員票が発表されます。結果が書かれた紙が配られると、場内がざわめきます。

 逢坂氏86ポイント、小川淳也氏61ポイント、泉健太氏93ポイント…

 逢坂氏が2位。しかも小川氏に25ポイントもの差をつけています。国会議員票は1票2ポイントなので、支持する国会議員の数で13人以上小川氏が上回らないと2位に浮上しません。小川氏支持の若手議員は「あの紙を見た瞬間、愕然とした」と語ります。決選投票の構図が泉VS逢坂で決まった瞬間でした。

 決選投票直前に再び演題に立った泉氏は、会場の国会議員を前に切々と訴えました。

「私はこの党の中に垣根をなくしていきたい。誰がいつこの党に入ったか
ではなく、皆が一つになって頑張っていきたい」

 決選投票で泉包囲網はほころび、泉氏は陣営の読み通り84人の国会議員票を獲得して圧勝しました。

自民党総裁選との違い

 立民代表選の結果を見ると、9月の自民党総裁選も同じ構図だったことが思い出されます。自民党総裁選は保守系議員が画策したリベラル色の強い河野太郎氏を総裁にさせない、「河野包囲網」を巡る戦いでした。安倍元首相らは高市早苗氏を擁立して決選投票への流れを決める一方、岸田陣営が乗りにくい高市氏が2位になる可能性が出てくると手を緩めて、河野VS岸田の決戦に持ち込みました。そして決選投票では高市票を岸田氏に乗せて勝ち切るという、保守系議員の計算がピタッと嵌った戦いでした。

 一方、立民のリベラル系議員たちは決戦投票に向けた「泉包囲網」を構築したものの、想定外の逢坂氏が2位になってしまい。結果として決戦投票で泉氏の圧勝を招いてしまいました。決選投票に残った逢坂氏が、壇上で見せた戸惑いが印象的でした。

「決選投票と言うことで、正直申しまして私も驚いております」

 泉氏に対する忌避感が自民党内における河野氏ほどでもなかったことや、党刷新の必要性が強く求められていたことも泉氏が選ばれた理由です。しかし、党所属の地方議員票の動向がここまで掴めていなくて大丈夫なのか。さらに党全体のガバナンスが効いていないのではないか。権力闘争における自民党と立民の組織力の違いが浮き彫りとなりました。

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