水商売で違法労働の「ベトナム人留学生」が急増 彼女らを「救世主」と言うスナック経営者の本音

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「良い男がいたら紹介して」

 ベトナム人留学生たちは、なぜ水商売で働くことを選択するのか。スナックで働くベトナム人女性(22)に話を聞いた。彼女はファッションの専門学校に通う留学生でもある。

「(留学するために)借金をして日本に来た。勉強するためじゃない、日本でお金稼ぐため。週28時間(※)のアルバイトじゃ、お金足りないよ。ベトナムにいる家族、私が働かないと暮らせない。スナックでは日本人からキスされたり、抱き付かれたり、身体触られたりする。嫌だよ。でも、お金のためだから我慢してる。私の時給は1200円。お客さんから、チップをもらったりすることもある。スナックで働きたいベトナム人の友達は沢山いるよ。SNSを使って紹介もする」
※「留学」という在留資格で就労できる上限時間

 アイドル並みの容姿を持つこの女性は、涙ながらに語った。水商売で働く理由に同情はするが、やはり「留学」は建前で、本当の来日目的は出稼ぎだとわかった。しかし、一般のアルバイトでは低賃金で、労働時間も制限されてしまう。水商売で不法労働することは効率の良い金儲けの手段なのだ。

 日本語学校に通いつつ、ガールバーで仕事をするというベトナム人留学生の女性(19)も、「お金のため」と言い切る。

「ベトナムにいたら私は(貧しくて)酷い生活です。お金持ちになる夢見て、日本に来ました。留学生の時だけ、日本にいたいんじゃないです。バーで働くのは、日本人と結婚して日本にいたいから。良い男いたら紹介してください」

 この女性は、「日本人の配偶者等」の在留資格を獲得することが目的のようだ。日本人と結婚すれば、日本での活動内容に制限がなくなる。水商売の仕事は、日本人男性との出会いの場なのだと話す。

「国もわかっているはず」

 それにしても、違法労働をするベトナム人留学生が溢れているにもかかわらず、なぜ警察は、雇う側も雇われる側も取り締まれないのか。警視庁関係者はこう語った。

「実は警察でもベトナム人に限らず外国人留学生の違法労働に、どう対処するか、はっきり決めることができずにいます。国としては外国人留学生をどんどん受け入れる方向ですが、実体が伴っていない日本語学校も数多くあり、留学生を受け入れている日本語学校、大学、専門学校の中には助成金目的のところもある。こうした体制のまま外国人留学生を来日させたら、違法労働が増加していくのは当たり前です。今の状況は国もわかっているはず。さらに留学生ばかりではなく技能実習生の受け入れにも問題点は多く、違法就労は増えるばかりでしょう。それでも国が対策を採らないので、我々も対応に困っているというのが現状です。

 さすがに目に余るので、今回は立件しましたが、いちいち逮捕していたらキリがない。たとえば、中国人や韓国人、フィリピン、ベトナムなどから来ている留学生の女性を性風俗店で働かせ、性交渉も自由恋愛として容認していたり、マッサージ店では、これらの若い外国人女性に性的サービスをさせていたり……。風俗営業の許可を取らずに飲食店として営業しているスナックもザラで、本格的に取り締まりを強化すれば、いったいどれほどの雇用主、外国人が逮捕されることになるのか見当もつきません」

 外国人に頼らないと雇用が維持できないというのなら、日本は外国人留学生の就労条件を緩和し、日本人の学生と同じように週28時間以上の労働を許可すべきだろう。

真樹哲也
1985年、北関東生まれ。裏社会に入り込んで取材をし、アンダーグラウンド記事を書くことを得意としている。近著『ルポ外国人マフィア 勃興する新たな犯罪集団』(彩図社)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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