報ステ「大越健介氏」はテレ朝にとってありがたい存在 相思相愛はいつまで続くか

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きっかけは「地震報道」

 では、なぜ当初は視聴率が振るわなかったのだろう。10月第1週は「報ステ」での大越氏が観たい人が多かったらしく、さらに10月7日に放送中に起きた千葉県北西部を震源地とする震度5強の地震を伝えたことから、数字が高かった。だが、第2週から落ちた。

 その理由は地震報道にあったと見る向きが他局内では一般的であるようだ。

 地震発生以降は局アナの小木逸平キャスター(47)が番組を仕切り、頼もしく見えたため、ネット上には大越氏を批判し、小木アナを讃える声が並んだ。だが、テレビマンの見方は違う。

「放送中に地震、事故、事件が発生した際の対応が番組内で十分に話し合われていなかったのではないか」(BS報道番組ディレクター)

 小木アナは「まずは身の安全を図ってください。身の安全を図ってください」などと冷静に呼び掛け、各所からの中継の差配も担当した。一方の大越氏はたまに注意を呼び掛けた程度。小木アナとの連携はほぼなく、目立たなかった。

「そうしてしまったのは番組の責任。メインは大越さんなのだから、仕切るのはあくまで大越さんでなくてはならなかった。それがニュース番組と情報番組の鉄則。小木さんは大越さんが振るまで話すのを控えなくてはならない。そうする余裕もない時は小木さん側から大越さんに『ここからは私がお伝えします』と断ればいい。この形を守らないと番組全体が不安定で頼りなく見えてしまう」(同・BS報道番組ディレクター)

 この地震報道の後、ネット上には小木氏を「さすが局アナ」などと讃える声が並び、一方で大越氏は「情けない」などと腐された。

 もちろん小木アナに悪気はないだろうが、大越氏は堪えたのではないか。それでなくても就任早々で硬かったのに、地震報道の後は余計に緊張しているように見えた。これが視聴率を下げた一番の要因と見られている。

 ただし、硬くなるのも無理からぬ話だった。「Nステ」の久米氏は6年、「報ステ」の古館伊知郎氏(66)は20年のフリー経験を積んでから、キャスターに就任した。見ず知らずのスタッフと仕事をすることに慣れていた。一方、大越氏は37年間のサラリーマン生活から、いきなりの転身。新しい職場で、フリーの立場で働くことに伴う緊張もあっただろう。

 単身でテレ朝に乗り込んだことも硬さを増したはず。久米氏はオフィス・トゥー・ワン、古館氏は古館プロジェクトに所属していた。NHK報道局で8期先輩にあたり、「中居正広のニュースな会」などに出演している柳澤秀夫氏(68)もホリプロに所属している。

 事務所に所属すると、ギャラからマネージメント料を差し引かれるものの、その分、面倒なギャラ交渉やスケジュール調整などを個人でやらずに済む。

 もっと重要なのが「局は自分をどう思っているか」といった情報収集もやってくれること。局の人間に言えない番組やスタッフに関する愚痴も聞いてもらえる。

 半年後、1年後もテレ朝と大越氏の相思相愛は続くのか、それとも片思いになってしまうのか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮編集部

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