【W杯予選】柴崎で“プチ冒険”ではなく、「三笘」「古橋」をなぜスタメンで起用しないのか

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 日本代表の試合を1980年代の前半から取材しているが、日本人監督には共通点がある。ファンやサポーター、メデイアがスペクタクルな攻撃サッカーや、得失点差を考慮して大量点を期待しても、肩すかしを食うことが多かった。

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 日本人監督が目指すのは、まずは勝点3を取ること(負けないこと)。そのためなら1-0でも十分に満足できる。「3~4点取ったからといって、勝点が増えますか?」というのが彼らの言い分だった。

 ホームでオマーンに敗れ、アウェーでは柴崎岳のミスパスからサウジアラビアに敗れ、黒星が先行した日本だったが、森保一監督は地道に1試合ずつ勝利を積み重ね、気付いたら2位に浮上していた。

 そんな森保監督が、オマーン戦で累積警告により出場停止となった守田英正の代わりに、守備の強度の高い原口元気ではなく柴崎をスタメン起用したのには「おや」と思った。守備一辺倒ではなく、多少は「攻めるぞ」というメッセージを含んだスタメンと感じたからだ。

 しかし、左FWの南野拓実が中に入り、開いたスペースに長友佑都が攻撃参加し、そのカバーに田中碧が入るという攻撃パターンは対戦相手にバレバレ。右FWの伊東純也もスピードを警戒され、オマーンは2人がかりでスペースを与えないよう守ってきた。

 アウェーのベトナム戦とほぼ同じスタメンなのだから、ベトナム戦と同様に日本の攻撃に変化がないのは当然だった。柴崎も前を向いてボールを持て、時間的な余裕があるボランチなら類い希なパスセンスを発揮できるが、インサイドハーフでは存在感がまるでない。

三笘の“ヌルヌルドリブル”

 南野にしても、中島翔哉という気心の知れたテクニシャンと組んでトップ下では輝きを放ったが、現状のインサイドハーフで長友の攻撃参加を引き出す役割では能力を存分に発揮しているとは言いがたい。彼の起用法に関しても、森保監督には再考を促したいところだ。

 かくして前半は両チームともこれといった見せ場を作れず0-0で終了。解説者の岡田武史元日本代表監督が言ったように「緊張感と迫力に欠ける」前半だった。

 柴崎のスタメン起用が“プチ冒険”なら、後半開始から柴崎に代え三笘薫を起用したのは、森保監督のこれまでの采配を考えるなら“大冒険”と言えるだろう。そして三笘は森保監督だけでなく、DAZNの中継画像を見守っている多くのファン・サポーターの期待にすぐさま応えた。

 後半2分にドリブル突破で相手の反則からFKを獲得すると、4分にもドリブル突破から遠藤航のシュートをお膳立てする。タテに抜け出るのかカットインするのか予測がつかない“ヌルヌルドリブル”に、オマーンの選手も戸惑っているのは明らかだった。

 そこで森保監督は、長友に代えて中山雄太、南野に代えて古橋亨梧を入れ、大迫勇也をトップ下に置く4-2-3-1にシステムを変更する。左サイドからの攻撃は三笘に任せるというメッセージだ。

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