元公安警察官は見た 駐日大使館のレセプションに勝手にやって来る人々のヒドい行状

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韓国の某宗教団体職員

 それにしても、招待状もないのにどうやって会場に入るのか。

「受付で招待状を必ずチェックしますが、トイレに行って戻ってきたような顔をして入ってきます。入口の外で人の良さそうな大使を見つけると、『大使、こちらですよ』と知り合いのようなふりをして声をかけ、そのまま一緒に入場する者もいます」

 パーティー・クラッシャーの目的は、美味しい料理や華やかな雰囲気を楽しむことだが、

「各国の大使や来賓の著名人と自分が握手するところを写真や動画に収めてSNSにアップする人もいます。某宗教団体に勤める韓国人は、大使館のパーティーに参加するのが生きがいで、いつも有名ホテルのロビーをうろつき、ホテルのその日の催しを見て、大使館主催のパーティーに勝手に来ていました。大使と握手やハグしている写真や動画を連れの女性に撮らせ、SNSにアップしていました。後から招待客でないことを知ると大使たちは怒っていましたね」

 パーティー・クラッシャー対策として、受付で招待状と引き換えに花を渡し、花を胸につけていない人は再入場を認めないシステムにしている国もある。

「ところがその韓国人は、胸に花をつけた人が会場からでてくると、『お帰りですか』と声をかけ、帰る人であることが分かると『お花、お預かりします』といって花を受け取り、胸につけて入場するのです」

 日本人のパーティー・クラッシャーもいる。

「日本人も大使との写真や動画を撮りたがるのですが、私の知るケースでは、自分が関わっている語学学校や知人の経営コンサルタントのホームページにアップして、自分のビジネスに引用していました」

 常連のパーティー・クラッシャーは、大使館関係者に顔を覚えられることもある。

「あるミャンマー人女性は北欧の料理が大好きで、デンマークやノルウェーのレセプションに何度も現れたため顔を覚えられてしまい、会場の入り口で入場拒否されていました」

 もっとも、パーティー・クラッシャーが一度会場に入り込むと、退去させるのはなかなか難しいという。

「レセプションの会場で、ある大使から常連のパーティー・クラッシャーをつまみ出して欲しいと言われたことがあります。しかしそんな時は『難しいですね』とお答えしていました。パーティー会場で警察官が職務質問すれば、他の客に迷惑がかかるかもしれないからです。それでも大使から退去させて欲しいと頼まれたら、大使の部下に問題の人物を退去してもらうようお願いします。もしそこでトラブルになったら、私が対応していました」

勝丸円覚
1990年代半ばに警視庁に入庁。2000年代初めに公安に配属されてから公安・外事畑を歩む。数年間外国の日本大使館にも勤務した経験を持ち数年前に退職。現在はセキュリティコンサルタントとして国内外で活躍中。「元公安警察 勝丸事務所のHP」https://katsumaru-office.tokyo/

デイリー新潮編集部

2021年11月19日掲載

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