韓国・慰安婦像前のデモ再開で「被害者に公式謝罪をしろ!」 法律違反の反日団体の取り締まりに警察が及び腰なワケ

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革新系「反日行動」の違法行動

 この場所でのデモはかねて「正義連」の独壇場だった。「反日は正義」ゆえに管轄する警察内にも彼らを別格扱いする風潮が受け継がれ、他団体のデモ申請は受けつけない習わしがあったと韓国メディアが過去に報じたことがある。

 今回、「自由連帯」側は日章旗と太極旗を手に持ち、「慰安婦20万人説は嘘だ」「強制連行は根拠がない」と、韓国側の主張を否定するデモを敢行していた。

 さらにこの日、「自由連帯」や「正義連」に加え、革新系の学生団体「反安倍反日青年学生共同行動」(反日行動/2018年に『日本軍性奴隷諸問題謝罪・賠償と売国的な日韓合意のための大学生共同行動』から改名)」のメンバーも同じ場所に集まっていた。「反日行動」は「自由連帯」の届出を知り、像の前を違法占拠してデモを阻止したのである。

 この騒動から1週間経った9日未明から10日午後も「自由連帯」と「反日行動」がデモの開催場所を巡って衝突している。現場には警察も出動して「集会法に基づいて先に場所を取った『自由連帯』が集会を行っているため、『反日行動』がここで集会を行うのは違法」と警告。しかし、警察は「反日行動」を強制的に排除するまでには至らなかった。

尹美香被告の起訴がボディブロー

 これら3団体がバッティングしたのは各国の大使館が軒を連ね、メディア企業も集まるエリアだ。筆者も一時期この地域にオフィスを構える会社に勤務したことがあるが、デモの間は爆音がずっとオフィス内にこだまして仕事どころではなくなってしまう。

「正義連」がデモを行い、「自由連帯」と「反日行動」が激しく争い、おまけに警察は「反日行動」を強制退去させずに黙認状態だったとなると、周辺で働く人たちはストレスの塊のようになっていたはずだ。

 慰安婦像が設置されている鍾路(チョンノ)区庁はこれら団体による騒動を受け、警察に慰安婦像に対する施設保護要請を提出した。団体間の衝突によって少女像が損壊しかねないというわけだ。

 これに対し警察側は「そのような被害が発生すれば、関係者を全員、現行犯で逮捕する」「『反日行動』が違法集会を続ける場合、集会およびデモに関する法にのっとって対処する」と述べた。

 現在、正義連の前代表、尹美香(ユン・ミヒャン)被告は十指に余る容疑で起訴されており、裁判が継続中だ。それによって多くの「正義連」支持者が離れ、「自由連帯」の活動を支持する国民が徐々にではあるが増加している。

 しかし、「反日行動」の違法活動を警察が厳しく取り締まるようになるかといえば、それはなかなか想定しづらい。デモの申請に関しては長年の慣行が崩れたものの、「反日は正義」は依然として当局の中で血のように流れているはずだからだ。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮編集部

2021年11月18日掲載

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