巨人は負けるべくして負けた…メジャー再挑戦の話が出始めた菅野が選ぶ道は?【柴田勲のセブンアイズ】

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「負けるべくして負けた」

 巨人の21年シーズンが終わった。12日のクライマックスシリーズ・ファイナルステージ3戦目(神宮)にヤクルトと引き分けて敗戦が決まった。2敗1分、結局1勝もできなかった。

 結論から言うと、「負けるべくして負けた」ということだ。シーズン前半戦はともかく後半戦に入るとまったく勢いがなかった。原辰徳監督はあの手この手でチームを操縦してきたが、チーム状態がよければドッシリと構えていたはずだ。それができなかった。チームの総合力の差がハッキリと出た。

 それにしてもリーグ優勝によるアドバンテージ1勝は大きい。もともと強いチームに1勝をあげるのだから、そりゃ有利だ。引き分けでもいい。実質的には1.5勝分だ。パ・リーグも同じような結果となった。

 まあ、両リーグとも落ち着くところに落ち着いたということで、シーズンの実力を証明した。下克上なんてそうそう起こらない。

1つ1つのボールすべてが一級品

 ファイナルステージ、岡本和真を欠いた打線が振るわなかったことが大きな敗因だが、第1戦で奥川恭伸にいいように封じ込められて敗退への流れが決まった。

 奥川はヤクルトどころか、リーグを代表する投手になるのは間違いない。まだプロ2年目ながら真っすぐ、スライダー、フォークなど1つ1つのボールすべてが一級品だ。

 巨人の菅野智之とは違うタイプだ。今季の菅野はカーブ、スライダー、カットボールなど変化球主体だったが、奥川は外角への真っすぐを主体に打者を追い込んで最後はフォークで仕留める。なによりいいのがストライク先行の投球だ。それに度胸もいい。第1戦、五回2死一、三塁で代打・八百板卓丸をフルカウントから外角低めへの速球で見逃し三振に仕留めた。勝負所と判断してこれ以上ないボールを投げることができた。

 奥川はプロ初完投を初完封で飾った。わずか98球、被安打6で9奪三振、大きな自信をつかんだと思う。この活躍でクライマックスシリーズMVPを獲得した。CSでの20歳の受賞は07年のダルビッシュ(当時日本ハム)の21歳を更新する最年少だ。他球団にもそうだが、特に巨人には今後も自信満々でくるだろう。

 巨人はシーズンでも2敗(※)している。第1戦でも先頭打者が4度出塁したが、手も足も出なかった。

 五分と五分の勝負事も精神的に優位に立てば7分3分となる。前回、奥川相手に落とせばズルズル行くと記したが、その通りになったし厄介な天敵まで誕生させたことになる。

 奥川にやられてズルズル行き、菅野でも流れを止められなかった。六回2死満塁、代打・川端慎吾への押し出しの四球から塩見泰隆に走者一掃の三塁打を浴びた。菅野にはヤクルトの勢いを止める力がなかった。

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