巨人は負けるべくして負けた…メジャー再挑戦の話が出始めた菅野が選ぶ道は?【柴田勲のセブンアイズ】

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8億の年俸をもらっていながら

 その菅野に「メジャー挑戦」の話が再燃しているという。昨年オフ、ポスティングシステム(入札制度)によるメジャー移籍を模索したものの、条件面などで折り合わず残留した。今季は海外FA権を取得しており、興味を示す球団があると言われている。ポスティングの費用がいらないのも獲得への後押しとなっている。もちろん、巨人は残留を要望するだろう。

 私は行かない方がいいと思う。今季の菅野は故障に泣いて6勝7敗に終わった。昨年の14勝2敗から大きく成績を落とした。8億の年俸をもらっていながらである。最後は存在感を見せたが巨人V逸の戦犯の1人だ。

 ここは残留して巨人再建のために全力を尽くすべきだろう。来年、14、5勝くらいして優勝に貢献したなら何も言うことはない。だが、いまのままではどうか。ハッキリ言って、顰蹙(ひんしゅく)を買う。

 まあ、原監督、そしてお父さんの貢さんもそうだったが、原一家は考え方がしっかりしている。菅野も誰もが納得する結論を出すのではないか。

大事なのは選球眼

 ヤクルトと3戦して奪った得点は2、第3戦も同点に追いつくのがやっとだった。四回無死二、三塁、ここで松原聖弥が空振り三振に倒れた。ポイントの1つとなったシーンだが、松原を責めるのはどうか。まだ、そこまで期待できる選手ではない。

 松原はファイナルステージの2戦で8打数ノーヒットだった。この日は8番に降格となり、どうしても結果がほしかった。そこでボール球を振ってしまった。吉川尚輝にも共通することだが大事なのは選球眼だ。この2人は守備や走力の能力が高い。今後外せない選手になる可能性が高い。不動の1、2番になるため選球眼を鍛えてほしい。

 やはり打線は丸佳浩、坂本勇人、そして今回はケガで出場できなかったが、主砲・岡本和真が主役である。脇役はあくまで脇役である。主役が機能してこそ、打線は威力を発揮する。

 ヤクルトは4番の村上宗隆が中心に座り、打線に切れ目がなかった。急成長した1番・塩見の存在も大きかった。巨人は相変わらず、ここぞの1本が出なかった。

 投手陣もしっかりと整備されて前半戦とはまるで違うチームのようだった。2年連続最下位からの優勝、これも高津臣吾監督が焦らず、じっくりとチームの整備に取り組んできたからだろう。

 巨人にとっては屈辱のファイナルステージとなった。まもなく秋季練習がスタートする。チーム再建へ一丸となってほしい。

※7月13日・6回を被安打6で3失点、9月17日・7回を被安打5で1失点、巨人から2勝を挙げていた。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮取材班編集

2021年11月14日掲載

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