「茂木・新幹事長」の公選法違反「衆議院手帖」の無償提供を裏付ける証言・証拠と茂木氏の弁明(第1回)

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松島法相の一件を受け配布は中止

 このあたり、茂木大臣の心のうちに後ろめたさがなかったかと言うと、どうも引きずっていた気配がある。

「茂木氏は、カレンダーも無償で選挙区内の有権者に配布してきました。でも、松島さんのうちわの一件以降、カレンダーは取りやめたという経緯がある。更に、配布継続を選んだ手帖については、事務所スタッフを集めた全体ミーティングの場で本人が“手帖の領収書は小分けして計上すること。配布に際しては慎重に行なうこと”と念入りに指示していました」(先の事務所関係者)

 これまで見てきたのは、衆議院手帖を選挙区内の後援会幹部に無償で配布しているという実態である。本件について、政治資金問題に明るい上脇博之神戸学院大教授に聞くと、

「結論から申し上げて、公選法199条の2第1項が公職の候補者に禁じる『寄附行為』に該当し、違法である可能性が高いと言わざるをえません。その場合、問題になるのは、(1)選挙区内の(2)不特定多数に(3)無償で(4)有価物を提供したか否かで、今回のケースだと(2)と(4)が考えられる。(2)は、幹部が実際に後援会活動を行なっているかが重要で、判断材料となるのは、その人物が後援会費を納めているかどうか。単に名前を貸しているだけでは一般の有権者と変わりはなく、したがって不特定多数に提供したと判断されても仕方ない」

(4)に関しては、

「これまでに『うちわにも用いることができる円形のビラ』だと、“ビラが主”で有価物として評価できないという議論がありました。しかし、衆議院手帖は販売されているものだから、間違いなく有価物と言えます」

茂木大臣との一問一答

 茂木大臣に聞いてみた。

「党員であったりとか後援会や支部の役員について政治活動で手帖を配ることは、公選法上、一般論として問題ありません」

 と仰る。そこで、後援会費を払っていない人達にも配っているという事実を指摘すると……。記者とのやりとりは以下の通りである。

「あのー、それはないと思います……手帖は配っていないんですから、もらった人はいないと思います」

─今後、手帖をもらった人が名乗り出てきた際に、先生のご回答を有権者がどう受け止めるか?

「1名なり2名、間違って渡したことがあるんなら、それは修正いたします」

─でも渡したか否かというのは修正できることではないと思いますが。

「金銭を取るのを忘れていたのかもしれない。その場合は支払ってもらうこともあるでしょう」

─勝手に持ってきて払えって言うのでは先方は怒ってしまうのではないか。

「いやいや、そんなこと言ってません。そんなこと言ってません、いや、仮に、仮に徴収をしてなかったとして……」

─手帖を配っている数は3000近いですよ。

「いや、配ってないです、そんなに」

─茂木事務所が手帖を買うのを代行したということですか。

「それはある、それはあると思いますよ。だって、普通の本屋さんでは売ってないわけですから。うん。それは可能性としてはあるんじゃないですか」

─カレンダーの配布はいつやめたんですか。

「ずっとやってないと思います」

─松島みどりさんのうちわ問題に際してやめたと聞いていますけれども。

「いや、それはあのー、何ていうか、私は少なくとも何ていうか、そういう配布物については、えー、管理しておりませんので、わかりません」

 その他、手帖の配布についても指示を下したことはないと主張するのだった(第2回に続く)。

デイリー新潮取材班

2021年11月8日掲載

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