中日「立浪新監督」が醸し出す“嫌な威圧感” PL流指導で竜を再建できるのか

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指導者として経験不足

 中日は11月4日、立浪和義新監督のもとで秋季キャンプをスタートさせた。球団の生え抜き選手としては、歴代最多となる通算2480安打をマークした「ミスタードラゴンズ」の監督就任に、早くも地元・名古屋では期待が高まっている。しかし、選手として実績のあるスター選手を監督にすればすべてが上手くいくほど単純なものではない。近年では、巨人の生え抜きスターだった高橋由伸がその代表例だが、優勝できないまま3年で退任となっている。立浪新監督にもあらゆる面で不安が感じられることは事実である。

 まず一つ目が指導者としての経験不足だ。現役時代の2008年から2年間は打撃コーチを兼任していたことはあったが、引退後は一度もNPB球団で専任コーチを務めたことはなく、わずかに侍ジャパンでの打撃コーチ経験があるだけだ。解説者としてはバッティングなどに関する鋭い考察に定評があるものの、指導者として長いシーズンを戦った経験がないのは、大きな不安要素である。

 そんな監督としての経験不足を補う存在になるのがコーチ陣だが、先日発表された顔ぶれを見ると、こちらに関しても万全とは言い難い印象を受ける。ヘッドコーチ兼投手コーチには、韓国とロッテで指導者経験のある落合英二が就任しているが、それ以外は経験が豊富なコーチは見当たらない。

“外様”の投手コーチが揃って退任

 また、一軍のスタッフで球団のOBではないのは、バッテリーコーチの西山秀二だけで、他は立浪新監督と同学年か年下の中日OBで占められている。二軍監督に就任した片岡篤史は、中日OBではないが、立浪新監督と高校時代の同級生であり、指導者としての力量ではなく、とりあえず親交の深いメンバーを揃えたという印象が強い。今季セ・リーグでトップの防御率をマークしているにもかかわらず、阿波野秀幸と赤堀元之という“外様”の投手コーチが揃って退任となっていることが象徴的である。

 10月29日に就任会見に臨んだ新監督の言動からも“不安要素”が感じられる。冒頭でのあいさつ、そして記者からの今のドラゴンズに必要なことはという問いに対して「勝ちに対する執念」という言葉を繰り返しており、精神的な面を強調しているように感じる。

 目指す野球についても、投手陣の整備、センターラインを固めることについて言及しているが、課題と言われている得点力不足については「打つ方は1年間、打てないと言われましたが、必ず何とかします」としか語っていない。限られた時間で語ることができる言葉は少なかったとはいえ、もう少し具体的なプランや数字などが欲しかったところだ。

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