中日「立浪新監督」が醸し出す“嫌な威圧感” PL流指導で竜を再建できるのか

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金屏風の前で腕組み

 もうひとつ気になったのが、選手の身だしなみに言及している点だ。「今の時代にあまり規制をかけることは良くないことかもしれないが」と前置きしているものの、長髪や茶髪、ヒゲなどは禁止が通告されているという。それでいながら、現役時代は金髪とヒゲを伸ばしてプレーしていた中村紀洋を打撃コーチに迎えているのには、思わず突っ込みたくなるファンも多かった。

 就任会見の様子を報じるメディアでは、金屏風の前で腕組みをする立浪新監督の写真が使われているが、心理学的にはこの姿勢はスポーツ指導の現場では基本的に使うべきではないと言われるものである。選手に対して“嫌な威圧感”を与えかねないからだ。

 記者からのリクエストがあったものかもしれないが、この写真が選手の目に触れる監督として最初の姿ということを考えると、理想のポーズではなかったのではないだろうか。立浪新監督は、強烈な上下関係で知られるPL学園出身で、同校OBの後輩が直立不動で話を聞くシーンなどもよく見られるが、そのような威圧感がマイナスに出てしまう恐れもある。

 04年に落合博満が中日監督に就任した時も風当たりが強い中で、いきなりリーグ優勝を果たしたが、就任前年はリーグ2位と決して低迷していたわけではない。その時と比べても、現在のチームはかなり厳しい状況であることは間違いなく、「ミスタードラゴンズ」が挑む強竜復活への道は、非常に険しいものとなりそうだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年11月6日掲載

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