「日大背任事件」井ノ口容疑者が“タックル学生”を逆恨みして画策したあり得ない“嫌がらせ”

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 ペーパーカンパニーをかませる手口で、現職理事らが大学病院の資金を流出させた日本大学の背任事件。元理事の井ノ口忠男容疑者(64)は、逮捕容疑にもなった医療関連機器の納入が検討された時、信じがたい理由でメーカーの切り替えを病院側に指示していたという。あの「アメフトタックル騒動」に関する“逆恨み”で、取引実績のある大手メーカーを切り捨てようとしたというのだ。

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「富士通を外せ」

 井ノ口容疑者が、医療法人「錦秀会」前理事長の籔本雅巳容疑者(61)とともに最初に逮捕されたのは、日本大学医学部付属板橋病院の建て替え工事をめぐり、2億2000万円を流出させたという背任容疑だった。先月27日には、同病院に医療機器と電子カルテ関連機器を納入した取引でも約2億円も割高な契約を結ばせて損害を与えたとして、再逮捕された。

 この電子カルテ関連機器の納入をめぐって、井ノ口容疑者は病院側に横暴な指示を出していた。日大関係者が証言する。

「この電子カルテ関連機器は富士通のものです。電子機器は4〜5年もすると古くなってしまい、リプレイス(バージョンアップすること)する必要が生じます。病院のなかでも、2〜3年くらい前からリプレイスする方向で予算を見積もるなど、計画を立てていました」

 だが、昨年5月頃、井ノ口容疑者が懇意にしているコンサル会社の男性が病院事務局にやってきて、こう伝えてきたという。

「リプレイスではなく、富士通からIBMにそっくり変えたい。その際、板橋病院だけでなく他の付属病院も合わせた4病院すべてをまとめてIBMに切り替えたい」

“天の声”

 事務局関係者は驚いた。藪から棒で、予算を度外視した話であったからだ。

「リプレイスするのと新たに別メーカーに切り替えるのでは、予算が倍くらい違います。しかもそれを4病院セットでやるというのであれば、数十億円規模の出費となる。電子カルテ機器において富士通は主流メーカーであり、これまでの運用に不都合があったわけではなかった。4病院で同じ機器を用いて連携させるメリットはあったとしても、富士通を外す理由などないのです。そもそも医療機器は医者が使うもの。医者からの要望を聞かずに上から業者を変更するよう言ってくるなんておかしな話でした」(前出・日大関係者)

 だが、コンサル会社の男性は明確な理由を述べず、「田中(英寿)理事長の承認も得ていますから」と重ねて要求してきたという。病院事務局も日頃から出入りしていた男性の後ろに井ノ口理事長、さらには田中理事長の存在があることは分かっていた。つまり、男性は“天の声”を届けに来たのである。

 医療機器の知識など持ち合わせていないはずの井ノ口容疑者は、なぜ富士通外しを指示したのか。日大関係者が明かす。

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