「中国は確実に台湾に侵攻する」前統合幕僚長が警鐘 沖縄の海が戦場と化す?

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米国も中国抑止の新たな手段を構築中

 仮に米中のミリタリーバランスが逆転すれば、米軍は第3列島線に近づくことさえできなくなる。米中の中距離ミサイルに関する格差も深刻で、中国は少なくとも核弾頭を搭載可能な地上発射型中距離ミサイルを1250発以上保有しているとされる。それらは日本全土を射程内に収めているほか、「空母キラー」と呼ばれる射程1500キロの対艦弾道ミサイル「DF-21D」、同じく射程3千キロから4千キロと伝えられ、「グアムキラー」との異名を持つ「DF-26B」も含まれている。

 中国の中距離ミサイルは、中国内陸部からの発射でも西太平洋に展開する米空母打撃群への攻撃が可能と見られる。第1列島線から第2列島線の間において、米軍部隊の行動を大きく制約する脅威になり得るのだ。

 しかも、アメリカはレーガン大統領時代の88年に批准したINF(中距離核戦力)全廃条約の影響で、現在中距離ミサイルの保有数はゼロという状況にある。

〈中国は米軍を念頭に置いた「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」と呼ばれる戦略を取っている。接近阻止(A2)とは「米軍の東シナ海や南シナ海への機動的な展開を妨害し、第2列島線の内側に米軍の艦艇を侵入させないこと」だ。

 領域拒否(AD)とは、米軍の第2列島線内への侵入を許した場合に「米軍による作戦地域の利用を拒否する」というものである。〉

 無論、アメリカも手を打っており、22億ドル(約2400億円)を投じる「太平洋抑止構想(PDI)」を打ち出して、軍事力の向上と戦術転換を図っている。具体的には、グアム島を西太平洋における最も重要な活動拠点と位置付けるなど、中国を抑止するための新たな手段を構築中だ。

 さらに海上発射型巡航ミサイルを地上発射型に改良した「トマホーク」や、23年の実戦配備が予定される「LRHW」といった中距離ミサイルの配備も進めている。つまり、時が経てばたつほど米軍が勢いを盛り返すことになる。

 こうした米中の動きと思惑に鑑みれば、やはり6年以内に台湾と尖閣諸島を巡る緊張がピークに達する可能性が高いと言わざるを得ない。

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