元公安警察官は見た 来日したテロ組織「ヒズボラ」のメンバーを尾行して分かったこと

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アルカイダと通じて

 レバノン人が乗った車は、北関東方面へ向かったという。

「何かあったときのために、立ち寄り先の県警に連絡して協力を要請しました。レバノン人が向かう先々で県警の協力を得ながら捜査しました。車は中東系の外国人が経営する中古車ディーラーに入って行きました。敷地は高い塀で囲われていて、外部から見えないようになっています。そこで中古車を解体し、部品を輸出するのです。彼らは盗難品を買い取って解体し、輸出することもあります」

 レバノン人は、結局20日間ほど日本に滞在したという。

「埼玉だけでなく、長野、岐阜、兵庫にも移動しています。立ち寄り先は埼玉と同様、中東系の外国人が経営する中古車ディーラーでした。レバノン人のビザの申請書を見ると、入国目的はビジネス商談とありました。ただ、テロ行為を行うため武器を製造する可能性があるので、レバノン人が滞在中はずっと監視しました。武器などを作っていれば、すぐに踏み込める態勢になっていました」

 結局、レバノン人は中古車ディーラーと商談するために日本に来たことが判ったという。

「レバノン人が立ち寄った中古車ディーラーは、彼が帰国してから半年くらいかけて調査を行いました。中古車ディーラーのスタッフの中には、アルカイダ(イスラム主義を掲げる国際テロ組織)と通じている者が何人かいることも判明しました。外国から来るテロ組織などの拠点となり、資金や宿の提供を行っているのです。詳細な調査報告は警察庁にあげられ、警察庁は必要な情報だけをCIAに報告したはずです」

勝丸円覚
1990年代半ばに警視庁に入庁。2000年代初めに公安に配属されてから公安・外事畑を歩む。数年間外国の日本大使館にも勤務した経験を持ち数年前に退職。現在はセキュリティコンサルタントとして国内外で活躍中。「元公安警察 勝丸事務所のHP」https://katsumaru-office.tokyo/

デイリー新潮編集部

2021年10月29日掲載

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