常勝「ソフトバンク」がいきなり弱体化…来季以降も残る“深刻な不安材料”

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実力以外の判断材料?

 また、昨年のドラフトでは、高校時代に外野手としてプレーしており、一度も公式戦に登板していない田上奏大を支配下の5位で指名した。さらに、今年も怪我で大学4年間のリーグ戦わずか2試合、2イニングしか登板していない大竹風雅(東北福祉大)を同じく支配下の5位で指名している。田上の1年目は二軍で1試合、1回を投げただけで三軍でも目立った成績を残していない。また、大竹は最終学年の4年春、秋ともリーグ戦登板なしに終わっており、来季はリハビリがメインとなる可能性が高い。

 本来であれば、こういった選手こそ育成ドラフトで指名するべきではないだろうか。多くの育成選手を抱えているソフトバンクにとって、早期に一軍戦力とならない選手を支配下として指名することは、選手の輩出スピードの鈍化に直結する問題である。

 田上の叔父はソフトバンクでプレーした経験のある田上秀則で、大竹の父は、担当の作山和英スカウトと高校時代から旧知の間柄だという。“縁故入団”とまでは言わないまでも、単純な実力やポテンシャル以外の判断材料が加味されていると、勘繰りたくなるような指名と言われても仕方がないだろう。

 三軍選手の実戦機会を増やすために、今年の育成ドラフトでは史上最多となる14人もの選手を指名。これに加えて、メキシコとドミニカから若手の外国人選手を育成選手として獲得するなど、次々と新たな施策を打ち出している。その一方で、肝心の支配下選手に関するスカウティングと育成が正常に機能しているかは疑問が残る。こうした点を見直して、チームの立て直しを図らなければ、来季以降も苦しい戦いが続くことも十分に考えられる。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月28日掲載

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